株主優待のクロス取引(つなぎ売り)は、優待をリスク少なく取得する手法として人気ですが、配当調整金についての誤解が多い分野でもあります。特に、配当調整金によって損したように見える構造や、年末に戻るという話の背景について、本記事で丁寧に解説します。
クロス取引の基本構造と配当調整金の発生
クロス取引では、現物株を買って優待権利を得つつ、同時に信用売りで空売りすることで株価変動リスクを回避します。この際に発生するのが「配当調整金」です。
信用売りをした場合、配当権利は買い手にあるため、空売りした投資家はその分を補填(=配当調整金)として支払う義務があります。これは制度信用でも一般信用でも同様です。
実際の損益計算例:なぜ2,000円の差額が出るのか
たとえば、現物配当が1万円の場合、実際に受け取るのは20%の税金が差し引かれて8,000円です。一方、信用売り側では1万円の配当調整金をそのまま支払う必要があります。
結果として、現物+信用売り=差し引き2,000円の損となります。これは税引後と税引前のズレによるもので、一見損したように見えます。
年末に「戻る」というのはどういうことか?
この2,000円のマイナスは、年末調整や確定申告で「配当所得の源泉徴収済み税額」と「配当調整金の損金処理」が合算され、調整される可能性があります。
特に特定口座(源泉徴収あり)を使っていると、配当所得と信用取引損益が別枠で処理されるため、年末に「還付される」「戻る」と表現されることがあります。ただし、これは口座の種類や確定申告の有無によって異なります。
一般信用と制度信用での違い
一般信用の方が制度信用よりも貸株金利が高めに設定されていることが多く、配当調整金以外のコストもかかります。
制度信用では逆日歩(品貸料)がつく可能性があり、リスク管理がより難しくなるため、クロス取引では一般信用が選ばれる傾向にあります。どちらでも配当調整金は基本的に同様の扱いです。
確定申告での取り戻し方とポイント
配当調整金による損は、雑所得や譲渡損益と損益通算できないため、確定申告で適切に処理しないとそのままマイナス計上となる可能性があります。
特定口座(源泉徴収あり)で処理された配当と、信用取引のマイナス(調整金)を税務上リンクさせるには、申告分離課税や配当控除の仕組みを正しく使う必要があります。詳細は税理士や証券会社のサポートを利用すると安心です。
まとめ
クロス取引における配当調整金は、仕組みを理解していないと「損した」と感じやすい項目です。税金の前後による金額差が要因であり、年末や確定申告で調整される可能性があることを覚えておくと安心です。
特定口座の種類や申告状況によって最終的な損益が異なるため、クロス取引を継続する場合は税務処理を含めた総合的な理解が必要です。

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