近年、経済政策として消費税の廃止や国債の積極的な発行による景気刺激策が議論されています。とくにコロナ後の不況からの脱却を目指し、「政府支出の拡大」が注目されてきました。しかし、このアプローチは本当に日本経済にとって持続可能なのでしょうか?本記事では、その背景や論点を丁寧に解説します。
消費税ゼロにすることの影響とは?
消費税は日本の税収の約3割を占める重要な財源です。これを撤廃すると、一時的には家計の可処分所得が増え、消費拡大が見込まれるかもしれません。
しかし、歳入が大幅に減るため、社会保障や地方交付税などへの財源が不足するおそれがあります。特に高齢化社会においては安定した税収が求められる中、消費税廃止は慎重な判断が必要です。
国債を大量発行すれば景気は本当に回復する?
経済学の一部では、デフレ期においては国債を発行して政府支出を増やすことで経済を刺激できるとされています。MMT(現代貨幣理論)でもこの手法が支持されています。
例えば、コロナ対策として実施された10万円の特別定額給付金や事業者支援策は、国債によって賄われましたが、一時的には消費と雇用の下支えに貢献しました。
財政赤字とインフレリスクは無視できるのか?
国債の発行が膨らむと、将来世代への負担や金利上昇リスクが懸念されます。仮にインフレが進行すれば、日銀が利上げを行う必要が出てきて、国債費の膨張につながりかねません。
2020年代以降、アメリカや欧州でインフレ率が急上昇した事例があり、日本でも急激な物価上昇が起これば、脆弱な賃金上昇とのミスマッチが国民生活を圧迫するおそれがあります。
他国の事例に学ぶ:積極財政の是非
アメリカではバイデン政権下で数百兆円規模の経済対策が行われましたが、2022年以降のインフレ高騰によって、政策の見直しが求められる結果となりました。
一方で、ドイツなどは財政規律を重視しながら、社会インフラ投資や再エネ支援など限定的な支出に集中する戦略を取っています。
バランスの取れた政策が必要
一律の消費税廃止や無制限な国債発行は、短期的には景気刺激になるかもしれませんが、長期的には持続可能性に疑問が残ります。高所得者に対する累進課税強化や、社会保障制度の再設計、IT・インフラ投資の効率化など、複合的な視点が求められます。
消費税の見直しも、軽減税率の拡充や逆進性対策といった柔軟な対応が現実的です。
まとめ
・消費税の廃止は一時的な景気刺激にはなるが、財政の持続性には課題あり。
・国債の大量発行による景気対策は有効な側面もあるが、インフレと信用不安のリスクを伴う。
・実現可能な政策としては、段階的な税制改革や、対象を絞った財政支出が有効。
・経済政策は短期的な効果と長期的な安定性のバランスが不可欠。

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