FX取引をしていると、「ドル円が142円〜148円の間でずっと動いていて、まるで固定相場のようだ」と感じることがあります。この記事では、なぜこのような狭い値幅で推移しているのか、背景にある政策・経済要因・投資家心理などを初心者にもわかりやすく解説します。
実際には固定相場ではないが「レンジ相場」が形成されている
まず前提として、現在のドル/円は完全な変動相場制です。つまり、市場参加者の売買によって常に価格が動いています。しかしながら、一定期間同じ範囲で値動きすることを「レンジ相場」と呼び、これが結果的に固定されたように見える状態を作っています。
このレンジ相場には複数の要因が関係しています。
①日米の金利差が相場の上下を抑えている
アメリカは2022年以降インフレ対策として政策金利を5%超に引き上げた一方、日本は長らく超低金利政策を維持しています。これにより、ドルの方が金利収入を得やすく、「円安ドル高」が進みました。
しかし、すでに金利差は織り込み済みで、これ以上の差拡大は限定的との見方が広がり、為替レートの変動が抑制されやすくなっています。
②為替介入への警戒感が上値を抑えている
148円台後半を超えると、政府・日銀による「円買い介入」の可能性が強く意識されるようになります。実際、過去に150円台に達したときに実施された介入で円が急騰した事例もあります。
そのため、市場参加者はあえて148円以上でドルを買いにくくなっているのです。これが上値の重さにつながっています。
③実需と短期投機が142~148円で拮抗している
企業の実需(輸出企業のドル売り・輸入企業のドル買い)は142円〜144円付近に多く存在します。一方、ヘッジファンドや短期トレーダーの思惑による動きは145円〜148円に集中。
こうした売りと買いのバランスが取れているエリアが、結果として“居心地のいい価格帯”となり、相場が一定範囲にとどまりやすくなっています。
④経済指標・発言・地政学も影響するが限定的
たとえば米雇用統計やFRB関係者の発言、日本のCPIなども為替に影響しますが、現在は大きなトレンド転換が出にくい環境です。理由は「金利据え置きの見通しが強い」「景気後退懸念が薄まっている」など。
さらに、地政学リスクや株式市場の変動も一時的な揺らぎを生むものの、すぐにレンジ内に戻る傾向があります。
今後レンジは破られるのか?
可能性としては十分あります。たとえば。
- 米国が利下げを開始すれば円高方向へ(142円割れ)
- 日本がマイナス金利解除や金融正常化へ動けばさらに円高圧力
- 逆に、米国がインフレ再燃で再利上げとなれば150円超えのリスクも
ただし、市場はこれらの変化を事前に織り込むため、ニュースと実際の価格変動がズレることも多い点に注意が必要です。
まとめ:ドル円の狭い値動きは「需給+政策」のバランスの産物
ドル/円が142〜148円の範囲で動いているのは、単なる偶然ではなく、日米の金利差・為替介入警戒・投資家の心理的水準が絶妙にかみ合っているからです。
このようなレンジ相場では、ブレイクを狙うのではなく「逆張り」や「スキャルピング」などレンジ内での戦略が有効となるケースもあります。相場の背景を理解することで、より納得感のあるトレードができるようになるでしょう。

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