株式投資において、利益を得た際に必ず意識しなければならないのが「税金」です。特に売却益に対する課税は、投資家にとって実質的な手取りに大きな影響を与えるため、その税率の推移や将来的な動向は非常に重要です。この記事では、株の譲渡益に課される税率の歴史と現在の制度、さらに将来的な税制変更の可能性について詳しく解説します。
現在の株の売却益に対する税率
日本では、株式などの金融商品の売却で得た利益には、所得税15.315%と住民税5%を合計した20.315%の税率が課されています。これは2013年から適用されているもので、いわゆる「復興特別所得税(0.315%)」が上乗せされています。
たとえば、100万円の利益を得た場合、税額は20万3,150円となり、手元に残るのは約79万7,000円です。なお、この税率は特定口座(源泉徴収あり)を選んでいれば、自動的に差し引かれます。
過去の税率の推移と背景
実はこの20%課税は昔から続いているものではありません。2003年~2013年の間は軽減税率が適用されており、税率は10%(所得税7%+住民税3%)でした。
しかしこの優遇措置は東日本大震災後の財源確保などを目的として見直され、2014年以降は本則税率である20%超の課税が恒久的に適用されています。
将来的に税率が上がる可能性は?
結論から言うと、将来的に株式売却益の税率が20%を超えてくる可能性は十分にあります。その理由として、以下のような政府の動きや議論が背景にあります。
- 「所得再分配」や「金融所得課税の一体化」などの税制改革の方針
- 岸田政権下で議論された「金融所得課税強化」の検討(現在は棚上げ)
- 高所得者への課税強化による格差是正の圧力
たとえば2021年には、金融所得の課税を現行より引き上げて、給与所得とバランスを取る案が議論されました。これは最終的に見送られましたが、将来的に再浮上する可能性は否定できません。
投資家が今後の税制変更に備えるには
税制の変更は突然実施されることもあり、個人投資家としては常にアンテナを張っておく必要があります。以下のような備えが有効です。
- NISA(少額投資非課税制度)を活用して、非課税枠内で運用
- 長期保有による複利の最大化で、課税によるインパクトを抑制
- 政府発表や税制改正大綱の情報を定期的にチェック
特に2024年からの「新NISA」制度では、非課税枠が拡大されており、制度改正の影響を受けにくい運用が可能になります。
海外との比較と日本の税率の立ち位置
世界的に見ても、日本の株式譲渡益課税20%は中程度の水準です。アメリカは所得レベルにより最大37%、イギリスも10~20%の変動制を採用しています。
一方で、香港やシンガポールなどは譲渡益非課税としており、投資先としての魅力にも直結しています。こうした国際比較の中で、日本の税率がどう位置づけられるかも、今後の議論に影響を与える可能性があります。
まとめ:今後の動きに備えて賢く制度を活用しよう
株式売却益にかかる税率は現在20.315%ですが、今後の税制改革によって変更される可能性は否定できません。過去にも軽減税率が廃止された経緯があり、今後も政治・経済情勢に応じて見直されることがあるでしょう。
だからこそ、制度の動向に敏感でありながら、NISA制度の活用や長期的視点の投資で、変動するルールに柔軟に対応することが大切です。

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