近年、製造業中心からサービス産業中心へと経済構造が変化する中、従来のような景気の山と谷が見えにくくなったと指摘されています。さらに、生成AIや関連技術への莫大な投資が経済成長の一因とも言われていますが、このAI投資ブームが一巡したとき、日本や世界経済はどのような局面を迎えるのでしょうか?
サービス経済化で景気循環は消えたのか?
かつては、自動車や家電など耐久消費財の買い控えによって景気が悪化しやすいという「景気循環」のパターンが明確でした。しかし現在は、飲食、医療、教育、情報通信などのサービス産業がGDPの大半を占めるようになっており、景気の波が以前ほど大きく振れにくい構造になってきたといえます。
ただし、サービス業も需要の変化や人件費・コストの変動により影響を受けるため、完全に循環がなくなったわけではありません。例えば、コロナ禍では観光業や外食産業が深刻な打撃を受けました。
AIバブルの正体と経済への影響
2023年以降、生成AIや半導体分野への投資が世界中で急増しました。ChatGPTや画像生成AIなどが注目を集め、関連銘柄の株価も大きく上昇しています。このような現象は「AIバブル」とも呼ばれ、過去のITバブル(2000年前後)を思い起こさせる動きです。
AI投資は生産性向上、業務効率化、人手不足対策といった面で確かに効果を発揮しますが、過度な期待が裏切られた場合や、実用化までのコスト回収が困難な場合、景気後退のきっかけとなる可能性も否定できません。
AI投資後に訪れる景気後退の可能性
AI分野への投資がピークアウトし、成長率が鈍化すれば、設備投資や株価に冷え込みが生じるおそれがあります。とくに、研究開発に莫大な資金を投じた企業で期待に見合う収益が得られなかった場合、その反動は経済全体にも波及します。
加えて、AI技術が一部の業務を代替することで雇用構造に変化が生じ、短期的には雇用不安や所得格差を拡大させるリスクもあります。こうした要素が複合的に作用すれば、実体経済の減速につながり得ます。
それでも「景気後退=不景気」とは限らない
現代経済においては、政策当局(中央銀行や政府)の介入も早く、危機の芽が拡大する前に金利政策や財政支援が行われる傾向があります。たとえば、新型コロナ禍では日本銀行やFRBなどが迅速に金融緩和を行い、株価と雇用の急落を防ぎました。
また、AIやデジタル分野のようなイノベーションは、次々に新たなサービスや産業を創出するため、仮に一部の投資ブームが沈静化しても、経済の基盤が大きく崩れるとは限りません。
過去のバブルと比較して見えてくること
1980年代後半の日本のバブル経済や、2000年代のITバブル崩壊を見ても、資産価格の急上昇とその反動は経済に大きなダメージを与えました。しかし、それらは多くが「実体のない期待」に基づくもので、現在のAIブームは実用性と実績に裏打ちされた側面があるため、同一視するのは早計です。
ただし、「過剰投資」や「過剰な期待」はいずれにせよ経済の波を生み出す要因であり、景気の調整局面は避けられないかもしれません。
まとめ:産業構造は変わっても景気の波は完全には消えない
サービス産業化やAI投資により景気循環の形は変わりましたが、経済は依然として波を持ち続けています。AIバブルの後に緩やかな調整局面が訪れることは考えられますが、適切な政策対応と新たな成長分野の創出があれば、深刻な不景気に陥るリスクは限定的です。
重要なのは、変化に備える柔軟な視点と、過去の経験から学ぶことです。

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