「GDP = 民間消費 + 民間投資 + 政府支出 + (輸出 – 輸入)」という式は、国内総生産(Gross Domestic Product)を理解する基本となる経済モデルですが、「関税」がこの式にどのように関わっているのか疑問に感じる方も多いはずです。この記事では、関税がGDPにどのように影響を与えるのか、統計的な側面からわかりやすく解説します。
GDPの構成における「輸入額」の定義とは?
GDPにおいて「輸入」は最終消費として国内で使用された外国産品やサービスの総額を指します。つまり、輸入額とは「関税を含まないCIF価格(運賃・保険料込みの本体価格)」が原則であり、関税そのものは直接的には含まれません。
たとえば、100万円の外国製品を輸入し、そこに10万円の関税が課せられた場合でも、GDP上ではその「100万円」のみが輸入額として扱われ、関税10万円は別項目として処理されます。
関税は「政府収入」として扱われる
関税そのものは輸入商品価格とは切り離され、政府の歳入(税収)として統計上「政府支出」側の財源に影響を与えます。
つまり、GDPに直接計上されるわけではありませんが、間接的に政府支出(G)や財政余力に影響を与える形で反映されることがあります。
例として、関税収入を元に公共事業が増加した場合、それは「政府支出(G)」としてGDPに含まれるという構図になります。
貿易収支と関税の関係性
GDP計算式では「(輸出 – 輸入)」が貿易収支として含まれますが、この「輸入」にはすでに外国からの財・サービス購入がカウントされており、関税による価格上昇は除外されています。
よって、関税が高くても「輸入額」は輸入品本体の価格ベースで評価されるため、GDPにおける貿易収支には影響しません。ただし、関税の影響で輸入が減るなどの経済行動の変化は、間接的にGDPへ波及する可能性があります。
実例で理解する:関税がGDPに与える間接的影響
たとえば、ある年に政府が特定品目に高い関税を課した結果、輸入が激減。その代替として国内生産が増えたとします。この場合、
- 輸入が減る → 「輸入」の項が小さくなりGDPは押し上げられる
- 国内生産・消費が増える → CやIの項目が増加し、GDPが拡大
このように、関税は間接的にGDPに影響を与える形になります。
まとめ:関税は「直接」ではなく「間接的」にGDPへ影響
関税はGDPの構成式(C+I+G+(X-M))に直接的には含まれません。輸入額はCIF価格で計上され、関税は政府の歳入(税金)として扱われます。
- 輸入額に関税は含まれない(CIF価格ベース)
- 関税収入は「政府収入」として間接的にGへ影響
- 関税によって輸入・消費行動が変化 → GDPへの波及効果はあり得る
つまり、「関税はGDP計算に含まれるのか?」という問いに対しては、「直接は含まれないが、間接的な影響はある」と答えるのが最も適切です。

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