相場分析を深めるうえで、「スラスト(Thrust)」の方向と波動の性質を見極めることは、トレードの精度を高めるために非常に重要です。この記事では、トレンド方向へのスラストと反トレンド方向へのスラストがそれぞれどのような意味を持ち、どのように価格の癖や構造に影響するのかを、具体例を交えて解説します。
スラストとは何か?推進力としての役割
「スラスト」とは、チャート上で一方向に勢いよく価格が動く局面を指します。特にエリオット波動理論やプライスアクション分析において、トレンドの初動や中盤でよく見られ、明確な方向性と強さを伴います。
このスラストは、新たなトレンドの始まりや、継続を示唆するシグナルとして活用されることが多く、逆に反トレンド側で見られるスラストは調整やフェイクの可能性を孕んでいます。
トレンド側のスラスト:推進波の典型例
トレンド方向に出現するスラストは、しばしばエリオット波動における「インパルス(推進波)」の一部であることが多く、持続性と勢いを伴っています。
例えば、上昇トレンド中に出る強い陽線の連続は、機関投資家や大口による買いが背景にあることが多く、市場参加者のコンセンサスが買い方向に傾いている証拠でもあります。こうしたスラストは、短期の押し目や高値更新の起点として注目されます。
反トレンド側のスラスト:調整波やフェイクの可能性
一方、トレンドと逆方向に発生するスラストは、一見強い動きに見えても、調整波であることが多く、継続性には疑問が残ります。
例えば、下降トレンド中に一時的に出る強めの陽線は、短期的なショートカバーや損切りによる急反発である可能性があり、上昇が続かず再びトレンド方向に戻るケースが多々あります。
値動きの癖とスラストの質的な違い
トレンド側のスラストは、ローソク足の実体が大きく、出来高を伴うことが多く見られます。反対に、反トレンド側のスラストはヒゲが長く不安定で、戻りが早いのが特徴です。
このような「癖」の違いを見極めるためには、トレンド方向、チャートパターン、出来高の有無など複数の要素を複合的に判断する必要があります。
実例:ドル円の上昇トレンド中のスラスト
2023年秋のドル円相場では、145円付近をブレイクした際に出現したスラストが、上昇トレンドの継続を示す明確な推進波となりました。反対に、その後150円での急落は一見スラストのように見えても、調整波であり、再び上昇する動きに転じたことが確認されています。
このように、方向と背景をセットで捉えることで、見かけの動きに惑わされず、実態を把握することができます。
エリオット波動との関連性
スラストの分析は、エリオット波動理論との親和性が高いです。特に、1波・3波・5波の推進波と、2波・4波の調整波との違いを理解することで、トレンドの強弱や転換点を見抜きやすくなります。
また、ジグザグ調整やフラット調整においても、反トレンド方向のスラストがフェイクとなるケースが多いため、全体の波形を把握して判断することが重要です。
まとめ:スラストの方向で波の質は変わる
スラストが出現したからといって、それが必ずしも「信頼できるトレンド継続のサイン」ではありません。トレンド方向か反トレンド方向かによって、スラストの意味や信頼度は大きく変わります。
トレンド側では推進波として、反トレンド側では調整波やフェイクの可能性があるという視点を持つことで、エントリーやエグジットの判断をより的確に行えるようになります。

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