FXにおけるアービトラージ(裁定取引)は、理論上リスクの少ない利益獲得手法として知られています。しかし、実際に4通貨間でポジションを組んだトレーダーが「スプレッドを超えられずマイナスのまま」という事態に直面することは少なくありません。この記事では、4通貨アービトラージが実戦で難しい理由と、現実的な改善策について詳しく解説します。
アービトラージとは?基本の仕組みをおさらい
アービトラージは、市場間または通貨間の価格差を利用して同時に買いと売りのポジションを取り、無リスク利益を狙う手法です。たとえば、3通貨(円・ドル・ユーロ)を使ったトライアングルアービトラージでは、通貨の相対レートのわずかな不一致を突いて利益を得ることが可能です。
しかし、4通貨を使ったアービトラージは一見複雑になり、レートの連動性・整合性・手数料構造などの影響を強く受けます。
4通貨アービトラージが機能しにくい理由
4通貨アービトラージでは、基本的に2対2のペアを構成し、それぞれにロング・ショートのポジションを持ちます。しかしこの構造では、以下の課題が発生します。
- スプレッドの累積:それぞれの通貨ペアでスプレッドが存在するため、合計のスプレッドが大きくなり、収益チャンスを食いつぶします。
- スワップポイントの非対称性:金利差によってスワップがマイナスになるポジションの影響を強く受け、長期保有が不利に働きます。
- レート変動の非連動性:4通貨間の価格連動が崩れると、相関性に依存する戦略が破綻します。
たとえば、「USD/JPYを買い、EUR/USDを売る」といった戦略を含めた4通貨組では、各ポジションが独立した値動きをする可能性があり、損失補填の構造が機能しなくなるのです。
スプレッドとスワップのコストが重くのしかかる
質問にあるように、ICMarketsなどスプレッドが狭いブローカーを使っても、スプレッドがゼロになることはほとんどありません。1通貨ペアあたり0.5pipsのスプレッドがあるとしても、4通貨を使えば理論上最大2pips分のマイナスでスタートすることになります。
さらに、スワップポイントも無視できません。たとえば、低金利通貨を売って高金利通貨を買う場合はスワップがプラスになりますが、その逆ではマイナススワップが発生し、長期保有するほど損失が拡大します。
ロット調整による損益バランスの限界
ポジションサイズ(ロット数)を調整することでリスクを均衡化しようとするアプローチもありますが、価格変動・金利差・通貨のボラティリティの違いから、必ずしも収益が出る方向に作用するとは限りません。
たとえば、ユーロ/ポンドや豪ドル/円などのように、ボラティリティや取引量が異なる通貨ペアを組み合わせた場合、1ロットずつのバランスでは損益が合致しないため、結果的に全体の損失リスクが高まることになります。
現実的な対応策と戦略の見直し
4通貨アービトラージの成功率を高めるには、以下のような工夫が必要です。
- スプレッドとスワップの最適化:ブローカーごとの条件を徹底比較し、低スワップ・低スプレッドの通貨ペアを選択する。
- 高頻度・短時間取引:ロールオーバーによるスワップ発生前にポジションを解消する戦略をとる。
- 3通貨に絞ったトライアングル型に回帰:トライアングルアービトラージは仕組みがシンプルで実績もあり、機械的なアルゴリズムで実行しやすい。
- 裁量を入れず完全自動化を目指す:人の感情が介在しない自動売買(EA)での構築が推奨されます。
まとめ:4通貨アービトラージは理論的でも現実は厳しい
4通貨アービトラージは、理論上成立する戦略ではありますが、実際にはスプレッド・スワップ・レート連動性の問題から収益化が非常に難しい手法です。ICMarketsのような低スプレッド業者を利用しても、完全にスプレッドを超える構成は困難で、さらにスワップの不利な蓄積が収益化を阻みます。
現実的には、まずは3通貨のトライアングルアービトラージや、よりシンプルな通貨間の短期取引戦略へシフトすることが望ましいと言えるでしょう。

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