ディマンドプルインフレは本当に存在するのか?需要が物価を押し上げるメカニズムをわかりやすく解説

経済、景気

インフレには「コストプッシュ型」と「ディマンドプル型」の2つの主要な原因があるとされていますが、果たして本当に需要(ディマンド)が物価を押し上げることはあるのでしょうか?この記事では、経済学的な理論と実例を交えて、ディマンドプルインフレの現実性について詳しく解説します。

ディマンドプルインフレとは?

ディマンドプルインフレとは、消費や投資などの需要が急増したことによって、供給が追いつかず、結果的に物価が上昇する現象です。これは「モノが足りないから価格が上がる」という極めてシンプルな仕組みです。

具体的には景気が急回復した時期や、金融緩和で消費が活発になった時期に見られやすいインフレパターンです。

需要が物価に影響する実際のケース

たとえば、旅行需要が急増したゴールデンウィークや夏休みのシーズン、航空券やホテルの価格が上がることがあります。これは明らかに需要増加による価格上昇=ディマンドプルインフレです。

また、コロナ禍後の経済再開時に起きた「半導体不足」では、EV車や家電の需要が急増し、価格上昇が発生しました。供給側の制約もありますが、需要要因が明確に価格を押し上げています。

競争があっても価格が上がる理由

「他社が価格を据え置けば、値上げした企業は不利では?」というのは正論のように思えますが、競争があっても全社的に需要が供給を上回っている場合、価格は上がることが多いです。

たとえば人気のゲーム機や限定スニーカーが需要過多になった際、各社が値上げせずとも市場価格(転売価格)は上昇します。つまり需要の強さは、供給が一定である限り、価格を押し上げる力を持つのです。

マクロ経済におけるディマンドプルインフレの実例

歴史的にも、ディマンドプルインフレは多数確認されています。たとえば1960年代のアメリカでは、政府支出と民間消費の急増によりインフレが発生しました。

日本でも、アベノミクスによる金融緩和と財政支出が重なり、2014年ごろには一時的な需要主導のインフレ兆候が見られました(その後コスト要因が優勢となります)。

供給が柔軟な場合の限界と誤解

確かに、競争が激しく供給が容易な分野では、需要が高まっても価格が動きにくいこともあります。たとえばスーパーの野菜や日用品などは、競争が強いため価格転嫁が難しいです。

しかし、供給能力に制限がある場合、または価格決定力を持つ企業が存在する場合には、需要の増加が確実に価格を引き上げます。価格は需要と供給のバランスで決まるため、「需要は価格に関係ない」という見方はやや極端といえるでしょう。

まとめ:ディマンドプルインフレも現実に存在する

インフレの原因はコストプッシュ型だけではありません。需要が急激に高まることで供給が追いつかず、価格が上昇するディマンドプルインフレは理論上だけでなく、現実の経済でも多く見られています。

価格が「コスト+利益」で決まるというのは一部正しいですが、それを左右するのが需要と供給の力関係です。価格形成のメカニズムを理解することで、インフレの見方もより深まるはずです。

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