為替相場は多くの要因に影響されて日々変動しています。特にドル円(USD/JPY)のような主要通貨ペアは、経済指標や金融政策、地政学リスクなどに敏感です。米国のリセッション(景気後退)は確かに「ドル安・円高」要因のひとつですが、それだけではありません。本記事では、ドル円が下がる要因を多角的に解説します。
1. 米国の利下げ観測の強まり
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策は、ドル円相場に大きく影響します。特にインフレの沈静化が進み、FRBが政策金利を引き下げる兆しを見せれば、市場はドルの魅力低下を織り込み、ドル売り・円買いが進む可能性があります。
例えば、2024年後半の消費者物価指数(CPI)が鈍化した際には、利下げ観測が強まり、ドル円は一時135円台まで下落しました。
2. 日本の金融政策転換
これまで長らく低金利政策を続けてきた日本銀行(日銀)が、利上げに踏み切る可能性もドル円の下落要因です。特に植田総裁の発言やYCC(イールドカーブ・コントロール)修正が注目される中で、「日銀が金融引き締めに向かう」との観測が高まると、円買いが進行しやすくなります。
市場では2025年中にも政策金利の正常化に向けた議論が本格化するとの見方も強まっています。
3. 米国の財政不安や債務上限問題
米国政府の財政赤字拡大や債務上限問題も、ドル安要因です。特に格付け機関による米国債の信用格下げが行われると、安全資産としてのドルへの信頼感が揺らぎます。
実際、2023年のフィッチによる米国債の格下げ時には、ドルが主要通貨に対して売られる場面が見られました。
4. 地政学リスクの変化
中東情勢や台湾有事など、国際的な緊張が高まると、「有事の円買い」が起こる傾向があります。日本円はリスク回避資産とされ、世界の投資家から買われやすいためです。
特に米国が関与する地政学的リスクが増す局面では、ドル安・円高の圧力が強まりやすくなります。
5. 株式市場の変動とリスクオフ相場
世界的な株価急落やリスク資産の下落局面では、リスク回避の動きとして円が買われる傾向があります。いわゆる「リスクオフ相場」です。反対に、ドルは売られやすくなり、ドル円は下落に転じやすくなります。
たとえば2020年3月のコロナショックでは、一時的にドル円が急落する場面が見られました。
まとめ:リセッション以外にも警戒すべきドル安・円高要因
米国の景気後退(リセッション)は確かに重要なファクターですが、それに加えて利下げ観測、日本の政策変更、財政リスク、地政学的緊張、株式市場の変動など、さまざまな要因が複合的にドル円に影響を与えます。
ポジション保有中のトレーダーにとっては、テクニカルだけでなくこうしたファンダメンタルズも常にチェックしておくことが、リスク管理や利益確保の面で非常に重要です。

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