動学マクロ経済学に関心を持ち、真摯に学問に向き合おうとする学生にとって、良質な教科書・参考書の選択は極めて重要です。本記事では、マクロ経済学のステップアップに必要な教材や、将来の研究テーマとしての妥当性についても多面的に解説します。
マクロ経済学の発展的な教科書・演習書
すでに中谷巌、二神・堀、ブランシャールを読了しているので、次のステップとしてより理論的な厳密性を持つ書籍に進むのが良いでしょう。以下はおすすめの教科書・演習書です。
- デビッド・ローマー『上級マクロ経済学』:DSGE理論を理解する基礎固めとして有効です。
- Jordi Galí『Monetary Policy, Inflation, and the Business Cycle』:ニューケインジアンDSGEモデルの定番書。実証分析の視点も豊富。
- Obstfeld & Rogoff『Foundations of International Macroeconomics』:開放経済マクロに挑むなら必須。動学最適化をしっかり学べます。
- 高橋洋一『新しいマクロ経済学入門』:日本語で動学と政策のつながりを理解するには好書。
演習書:理論の定着と実践的な応用力を養う
学部段階で理論を実践に結びつけるには、計算と図を扱う問題集が役立ちます。
- 橋本恭之『マクロ経済学のエッセンス 問題集』:基礎~応用まで幅広く扱う定番演習書。
- 中谷巌『マクロ経済学演習』:初学者から中級者向けの理論理解を助ける問題集。
- 練習問題付きのGalíやRomerの章末問題:自習用に非常に良質です。
マクロ以外でやるべき分野と参考書
DSGEや動学マクロを深く理解するためには、以下の周辺分野が極めて重要です。
- 動学計画法と最適化理論: Stokey & Lucas『Recursive Methods in Economic Dynamics』
- 計量経済学: 中級水準では『Stock & Watson』または『Wooldridge』、入門では『中村二朗 計量経済学』が定評
- 時系列分析: Enders『Applied Econometric Time Series』
- 数理経済学: 武隈慎一『現代経済学の数学基礎』
卒論テーマとしての妥当性と可能性
「DSGEモデルを用いた日本経済(特にバブル崩壊後)の分析」は、実際に国内外で多くの研究例があり、テーマとしての妥当性は高いです。ただし、新規性を出すには以下のような工夫が求められます。
- ゼロ金利制約下の金融政策分析
- マクロプルーデンス政策とDSGE
- 企業ダイナミクスを取り入れたミクロ基礎的DSGE
- 世代重複モデル(OLG)との比較分析
新規性の観点からは、コロナ後の経済再生や、地方経済とマクロモデルの統合といった時事性の高い着眼点も評価されやすいです。
補足:英語論文・データ活用・数値解析
卒論をより本格的に仕上げるには、英語論文の読解力や、FREDなどの実データの扱い、Dynare等の数値解析ソフトのスキルが必要です。
特にDynareを用いたDSGEのベンチマーク分析は、大学のゼミでも評価されやすく、実務にも応用可能です。
まとめ:動学マクロを志すなら、早期からの準備と基礎固めを
マクロ経済学の高度な研究を志すならば、理論・実証・計量・数学のバランスをとった学習が不可欠です。今のうちから英語論文を読むクセをつけ、手を動かしてモデルを構築し、ゼミで指導教員と議論を深めていくことが最善のステップとなるでしょう。

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