お金を貸すことに伴う利息の正当性や、信用力の低い企業に高金利を課す金融慣行に疑問を抱いたことはありませんか?本記事では、こうした疑問に対し、現実の金融理論と倫理的な価値観の交差点に焦点を当てて考察していきます。
そもそも「利息」とは何か?
利息は、資金を一定期間他者に提供する対価として受け取る報酬です。これには「時間的価値(time value of money)」や「信用リスク」、「機会損失」などが含まれます。
たとえば100万円を3ヶ月間貸すと、その間に他の投資に使えないため、その機会損失やリスクの見返りとして利息を求めるのが合理的とされます。これを契約上は「期限の利益の対価」として明確化します。
金融機関が信用力で利率を変える理由
信用力が低い、つまり返済不能リスクの高い企業には高金利が設定されます。これを「リスクプレミアム」と呼びます。ローリスク企業が年利1%で借りられる一方で、財務が悪化している企業は5〜15%と跳ね上がることも珍しくありません。
金融機関は営利企業であるため、貸倒れによる損失リスクを織り込んで利率を決定するのです。
困っている人にこそ低利で貸すべき?博愛主義的金融の理想と現実
「困っている企業にこそ安く貸すべき」という発想は、博愛主義的で道徳的にも共感を呼ぶ考え方です。しかし現実の金融システムでは、返済能力が疑問視される相手に低利で貸し付けることは、その資金を預けた預金者に対する説明責任や信用リスクに直結します。
また、リスクと報酬のバランスが崩れれば、金融機関自体が破綻のリスクを背負うため、安易な低利融資は制度上困難です。
イスラム金融に見る利息否定と利益分配型金融
イスラム教では利息(リバ)は禁止されています。その代わりに、資金提供者が商取引に参加し、利益が出た場合にだけ報酬を受け取る「ムダーラバ契約」などが使われます。
これは利息を否定しつつも、資本の使用に対する報酬を認める構造であり、一定の倫理性を保ちながらも経済活動を促進する仕組みです。
金融と倫理のジレンマをどう捉えるか
金融は合理性と安全性を基礎に設計されている一方で、困っている者をさらに苦しめる構図を内包している面も否めません。そのため、マイクロファイナンスやソーシャルレンディングといった「金融と福祉の橋渡し」のような仕組みが登場しています。
これらは小規模でリスクを分散しながらも、金利を抑えた融資を可能にし、より包括的な金融の在り方を模索しています。
まとめ:博愛主義的視点は理想、しかし現実はリスクマネジメントが前提
金融機関の金利設定には、貸倒れリスクと収益性のバランスが必須です。しかし、博愛主義的な視点やイスラム金融の考え方に学ぶことで、より包摂的な金融の可能性も見えてきます。
金融が社会インフラとして機能するためには、単なる効率性だけでなく、公正性や道徳性への配慮も重要な時代になってきているのかもしれません。

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