NISA口座で保有している株式の非課税期間が終了しようとする際、「新NISA口座に移したほうがよいのでは?」と悩む方は少なくありません。とくに長期保有目的の高配当株を持っている場合、売却して新NISAに入れ直すという手段が本当に有効なのか気になるところです。この記事では、旧NISA口座から新NISA口座への“実質的な移行”が可能かどうか、実際の手順や注意点を交えて解説します。
旧NISA口座の非課税期間は5年間、終了後は課税口座へ移管
旧NISA(2014年〜2023年に開設された一般NISA)の非課税期間は5年間です。この期間が終了すると、保有している株式は「ロールオーバー(翌年のNISA枠へ移行)」するか、「特定口座または一般口座へ移管」されます。
ただし、2024年から始まった新NISAは制度が刷新されており、旧NISA口座からの自動的な移管やロールオーバーはできません。そのため、新NISA口座で非課税メリットを継続したい場合は、一度売却して買い直す必要があります。
株を一度売却して新NISAで買い直せば「実質的な移行」は可能?
理論上は、旧NISAで保有している株を売却し、その資金で同じ銘柄を新NISA口座で買い直すことは可能です。この方法であれば、新NISAの非課税枠に株を“移す”ことができます。ただし、いくつかの注意点があります。
売却益が出ている場合は課税されませんが、売却損が出ると損益通算もできません。これはNISA口座内での売買のルールによるもので、旧NISA内での売却時の損失は、他の課税口座の利益とは相殺できないため注意が必要です。
買い直す際のリスクとタイミングの注意点
一度売却して買い直す場合、株価が変動するリスクを伴います。たとえば、売却後に株価が上がってしまうと、同じ株数を買い戻せなくなる可能性もあります。
また、売却と買付のタイミングがズレることで、思い通りの価格で買えないケースもあります。特に決算発表前後など、値動きが大きくなりがちな時期には、慎重な判断が求められます。
新NISAで買い直すときの枠の扱いとおすすめの手続き方法
新NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」があり、個別株は成長投資枠でのみ購入可能です。2024年からの制度では年間240万円、通算1800万円までの枠が設けられており、その範囲内であれば旧NISA資産の買い直しにも活用できます。
おすすめの手続き方法としては、まず新NISA口座の開設・入金を完了させておき、旧NISA口座内の株を売却後すぐに新NISAで指値注文を出すという流れが安全です。これにより、価格変動リスクを最小限に抑えることができます。
具体例:三井住友FG株を旧NISAから新NISAに実質移す場合
たとえば、旧NISAで保有している三井住友FG(8316)の株を2000円で取得していたとします。現在の株価が2100円であれば、旧NISA口座内で売却しても利益には税金がかかりません。そして同じ日に、新NISA口座で2100円で再購入すれば、非課税で保有を続けることが可能です。
ただし、タイミングによっては株価が大きく動くため、売却と買付をなるべく同日に行うこと、または株価の変動に対応できる余剰資金を確保しておくことが重要です。
まとめ:新NISAでの再購入は可能だが慎重な対応が必要
旧NISAから新NISAへの“実質的な移行”は、売却・再購入という形で実現可能です。ただし、タイミングや税制、損益通算不可といった点をよく理解し、冷静に行動することが求められます。高配当株を長期保有したい場合でも、制度の切り替えに合わせて戦略的に動くことが、将来の利益を守る鍵となります。

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