SBI証券の新NISA口座を利用していると、「トータルリターン」や「年間利回り(%)」の表示に混乱することがあります。たとえば、「買付金額に対しての利回り%から期待できる利益額」と「実際に表示されているリターン額」にズレがあると、不安になる人も多いのではないでしょうか。この記事ではその理由と、NISA特有の表示仕様、そして複利との関係について丁寧に解説します。
■ トータルリターンとは?基本の見方
トータルリターンとは、累計の「含み益+確定益」の合計です。SBI証券では以下のような表示がされています。
- 評価損益:現在の保有資産の評価額 – 買付金額
- 実現損益:売却などで確定した利益
- トータルリターン:評価損益 + 実現損益
したがって、2024年に得た利益も2025年のトータルリターンに加算されて表示されるため、2025年だけのリターンと混同しないよう注意が必要です。
■ 「複利で増えている」の誤解と真実
表示されたトータルリターンが、単年の利回りと単純に一致しない理由のひとつに「複利」があります。ただし、SBI証券のトータルリターンは、実際には複利運用によって得られた利益ではなく、「投資した全期間の利益合計」を示している点に注意しましょう。
たとえば、2024年に90万円の評価益が出た状態で、2025年に新たに237万円を追加購入した場合、2025年のリターン(たとえば1.8%)は「2025年に購入した資産だけ」ではなく、2024年の資産も含めて評価されている可能性があります。
■ なぜ表示上の利益が「想定値」より大きくなるのか?
今回のように、買付金額237万円に対して1.8%であれば、単純に計算して4.2万円程度の利益が出るはずです。ですが実際の表示が12.9万円ほどになっているのは、前年以前の利益が含まれた「累計のトータルリターン」だからです。
また、ファンドによっては過去のリターンが年初に加算される仕組みになっていたり、分配金の再投資などが加味されて評価額が上がっているケースもあります。
■ 年別パフォーマンスとトータルリターンの違い
SBI証券のサイト上では、「年別の利回り」と「累計トータルリターン」が同時に表示されているため、誤解が生まれやすくなっています。次のように区別しましょう。
- 年別利回り:その年に買った資産に対する含み益・実現益の合計
- トータルリターン:これまでのすべての購入分を合計した収益
例:2024年に100万円で購入し90万円の利益、2025年に237万円を追加して1.8%(約4.2万円)の利益が出た場合、2025年の表示は90万+4.2万=約94万円前後になることがあります。
■ 実例:NISA口座での積立と利益のズレ
たとえば、ある投資家が2024年に100万円を投資して年間19%のリターン(+19万円)を得て、2025年には237万円を追加で投資し、年間リターン1.8%(+42,660円)を得たとします。
この場合、SBI証券の「トータルリターン」にはすでに得られた19万円分も含まれており、合計では約24万円前後の含み益になる可能性があります。
■ まとめ:SBI証券のリターン表示に惑わされないために
SBI証券のトータルリターン表示は、「年間利回り」に対する単純計算とは一致しないことがあります。複数年にわたる運用成績が合算されていることや、分配金の再投資、ファンドごとの評価ロジックによる表示のずれが影響しています。
正しくは「各年の投資額」「各年の利回り」「全体の評価益・損益」を別々に確認することが重要です。不安な場合は証券会社に問い合わせて明細内訳を出してもらうのも良いでしょう。

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