為替レートは金利差に影響を受ける金融市場の重要な指標です。この記事では、金利平価(Covered Interest Parity)という理論を使って、先物相場と直物相場(スポットレート)の関係を数式と実例でわかりやすく解説します。
金利平価とは何か?
金利平価とは、異なる国の通貨の金利差が、先物為替レートと直物為替レートの関係に反映されるという理論です。為替リスクのない裁定取引が存在しない前提のもとに成立します。
カバード金利平価(Covered Interest Parity)は以下の式で表されます。
F = S × (1 + idomestic) / (1 + iforeign)
ここで、
F:先物為替レート(Forward Rate)
S:直物為替レート(Spot Rate)
idomestic:自国の金利(ここでは日本)
iforeign:外国の金利(ここでは米国)
具体例での計算:日米金利差と為替レート
設定条件は以下の通りです。
- 日本の金利:0.5%(年率)
- アメリカの金利:4.5%(年率)
- 3か月先物相場:150円/ドル
まずは年率を3か月(1/4年)に換算。
iJPY = 0.5% ÷ 4 = 0.125%(≒0.00125)
iUSD = 4.5% ÷ 4 = 1.125%(≒0.01125)
次に直物相場を求める式を変形。
S = F × (1 + iforeign) / (1 + idomestic)
代入して計算。
S = 150 × (1 + 0.01125) / (1 + 0.00125)
S ≒ 150 × 1.01125 / 1.00125
S ≒ 151.38(円/ドル)
答え:理論上の直物相場は約151.38円/ドルとなります。
なぜ直物相場は先物相場より高くなるのか?
米国の金利が日本よりも高いため、将来的に円をドルに換えると損をするリスクがあると市場が判断します。その結果、先物相場はディスカウントされ、直物相場の方が高くなる傾向があります。
この仕組みが金利平価により合理的に説明されるのです。
実際の為替市場でも使える?
実際のFXや外貨預金などで為替予約やスワップ取引を行う場合、金利差を意識した取引コストやレート設定がなされており、特に大口の法人取引などではこの理論が近似的に使われています。
個人投資家にとっても、為替変動リスクを理解するための基礎理論として有用です。
まとめ:金利差と為替レートは密接に関係する
金利平価の理論を使えば、先物レートと直物レートの違いがなぜ生じるかが明確に説明できます。今回のケースのように、金利が高い国の通貨を保有するリスクを調整する形で、先物と直物の価格が決まるのです。
理論に慣れると為替リスク管理や投資判断にも活かせるので、ぜひ覚えておきましょう。

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