S&P500連動型の投資信託とETFの価格の違いとは?仕組みと特徴を徹底解説

資産運用、投資信託、NISA

米国株に連動する資産形成の手段として人気のある「S&P500連動型の投資信託」と「ETF(上場投資信託)」ですが、その価格の決まり方には大きな違いがあります。本記事では、両者の価格形成の仕組みをわかりやすく解説し、自分に合った選択ができるようサポートします。

S&P500投資信託の価格は一日一回だけ決まる

投資信託(特に公募型のオープンエンド型ファンド)の価格は「基準価額」と呼ばれ、通常は1日に1回、証券取引所の取引終了後に算出されます。これは、そのファンドが保有する株式などの純資産総額(NAV)を口数で割った値です。

つまり、日中の株価変動にリアルタイムで反映されることはなく、たとえば午前中に注文しても、反映される価格はその日の終値ベースの基準価額となる点が特徴です。

ETFはリアルタイムで価格が動く

ETFは証券取引所に上場しているため、個別株と同様に市場の需給によってリアルタイムで価格(取引値)が決まります。S&P500連動型ETFであれば、構成銘柄の価格が変動すれば、それに応じてETFの市場価格も動きます。

ただし、取引される価格は「需給」によってややプレミアムやディスカウントがつく場合があり、基準価額と完全には一致しないこともあります。これを防ぐために、ETFには「マーケットメイカー」などが介入して価格の乖離を抑える仕組みが存在します。

注文方法の違いとタイミングの注意点

投資信託は「一括購入」「積立投資」といった注文が主で、購入価格は当日の基準価額(もしくは翌営業日)となります。そのため、注文時点では購入価格が確定しておらず、日中の価格を見て売買することはできません。

一方ETFは、証券会社の取引ツールを通じて「成行」「指値」注文が可能で、板情報を見ながら自由に売買できます。市場が開いている時間であればいつでもリアルタイムで取引できるため、短期売買にも適しています。

コスト面の違いにも注目

投資信託には信託報酬だけでなく、販売手数料がかかる場合があります。近年はノーロード型(手数料無料)のファンドも増えていますが、コストはファンドによって異なります。

ETFは売買ごとに証券会社に支払う「取引手数料」がかかります。信託報酬は一般的に投資信託よりも低めで、保有コストを抑えやすい傾向にあります。ただし、頻繁に売買すると手数料がかさむため、運用スタイルに応じた使い分けが重要です。

実際の例:eMAXIS Slim米国株式とVOOの価格決定の違い

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は日本の投資信託で、基準価額は毎営業日18時頃に更新されます。これに対して、米国ETFのVOO(Vanguard S&P500 ETF)は、米国市場の開場中(日本時間23時30分~翌6時)に常に価格が変動します。

例えば、為替が大きく動いた日には、投資信託は為替影響込みの価格で基準価額が決まるのに対し、ETFはドル建てで取引されるため為替の影響を受けません(ただし円換算時には影響あり)。

まとめ:投資スタイルに応じて選ぼう

投資信託は「長期積立」「価格変動を気にせずコツコツ買いたい人」に向いており、ETFは「リアルタイムで売買したい」「コストを抑えたい」「為替ヘッジを自分で管理したい人」におすすめです。

価格の決まり方の違いは運用成果やタイミング戦略に大きな影響を与えるため、それぞれの仕組みを理解したうえで、自分の投資目的にあった商品を選ぶことが大切です。

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