「銀行は預金金利を上げたくないから景気が良くなるのを嫌がるのでは?」という疑問は、一見理にかなっているように見えますが、実際には金融システムと経済の複雑なバランスを理解する必要があります。この記事では、預金金利と銀行の利益構造、景気と金融政策の関係、そして政府の経済運営方針について詳しく解説します。
預金は銀行にとって“借金”なのか?
預金は確かに銀行にとって「負債」にあたります。なぜなら、預金者からお金を預かり、それをいつでも返済する義務があるからです。しかし、それは「悪い借金」ではありません。むしろ、銀行はこの預金をもとに企業や個人に貸し出すことで、利ざや(利息差)を稼いで利益を得ています。
たとえば、1%の金利で預金を受け取り、3%で融資すれば、2%分の収益が生まれます。この利ざやは銀行の収益の基本です。したがって、必ずしも金利が上がると銀行が困るとは限りません。
景気が良くなると金利はどう動く?
景気が回復すると、企業活動が活発になり、物価が上昇しやすくなります。そこで中央銀行(日本では日本銀行)はインフレを抑えるために政策金利を引き上げます。この結果、銀行が預金に対して支払う金利も上昇する傾向があります。
一方で、貸し出しの需要も増え、貸出金利も上がるため、銀行の利ざやが拡大しやすく、収益はむしろ増える可能性があります。つまり、景気回復=銀行に不利という構図は成り立ちません。
なぜ預金金利はなかなか上がらないのか?
ここ数十年、日本では長らく低金利政策が続いており、銀行も預金に対して0.001%など極めて低い利息しか支払っていません。これは日銀の金融緩和政策により、政策金利がマイナス近辺に維持されていた影響です。
金利を上げるには、まず日銀が政策金利を引き上げる必要があります。これはインフレ目標や景気動向を慎重に見ながら判断されるため、銀行の意図だけで決められるものではありません。
政府は景気をわざと悪化させている?
このような疑問もよく聞かれますが、政府の基本方針はあくまで「経済成長の促進」と「国民生活の安定」です。景気が悪化すれば税収も減り、社会保障費も増えるため、政府にとっても損失です。
また、景気が悪くなると国民の支持も落ちやすく、政治的リスクが高まります。したがって、意図的に景気を悪くする政策をとる合理性はほとんどありません。
実例:海外の金融政策と金利動向
たとえばアメリカでは、インフレが高まった2022〜2023年にかけてFRBが積極的な利上げを行い、預金金利や貸出金利も急上昇しました。その結果、多くの銀行が利ざやを得て利益を拡大しました。
ただし、急激な金利上昇は債券価格の下落を招き、米国のシリコンバレー銀行など一部銀行が破綻する事例も生まれました。このように、金利の動きにはリスクと利益の両面があります。
まとめ:預金金利・景気・政府の関係を正しく理解しよう
- 銀行にとって預金は「借金」だが、貸出の原資として活用しており利益源でもある
- 景気回復は貸出増・利ざや拡大をもたらし、銀行にとって必ずしも不利ではない
- 金利は日銀の政策に基づき動き、銀行だけの意図でコントロールできない
- 政府が意図的に景気を悪化させるメリットはなく、むしろ成長を目指している
金融の仕組みは一見複雑ですが、基本的な構造を押さえることで、誤解なく経済を捉えることができます。

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