有償非適格ストックオプション(新株予約権)を受け取る際の重要な注意点と実務対応

株式

スタートアップ企業やベンチャー企業に関わる中で、「有償非適格ストックオプション(新株予約権)」という言葉に触れる機会が増えてきました。これは企業の成長に貢献した社員や関係者に対するインセンティブとして有効ですが、受け取る側にも注意すべき点がいくつか存在します。本記事では、非適格ストックオプションを受け取る際の留意点について、わかりやすく解説します。

有償非適格ストックオプションとは?

「非適格」とは、税制適格ストックオプションのような税優遇措置を受けられないストックオプションのことを指します。これに対して「有償」とは、取得する新株予約権に対して対価(プレミアム)を支払う形式のものを意味します。

つまり、有償非適格ストックオプションは「購入時に対価を支払い、行使時や売却時に課税対象となる」新株予約権ということになります。

税務上の注意点:受取時・行使時・売却時

1. 取得時:通常、有償で購入するため、この時点では課税されません。ただし、無償付与の部分があれば贈与と見なされる可能性があります。

2. 行使時:市場価格(時価)と行使価格の差額が給与所得として課税対象になります。特に高騰している企業の場合、課税額が大きくなるリスクもあります。

3. 売却時:株式売却時には、譲渡益に対して20.315%の譲渡所得課税がかかります。

法的観点:契約内容と権利確定条件に注意

ストックオプションの契約書には、様々な条件や制限が設けられていることが一般的です。例えば以下のような条項に注意が必要です。

  • 権利確定までの勤務継続要件(ベスティング)
  • 退職時の権利消滅条項
  • 譲渡不可条項

不利な条件が付されていないか、弁護士や専門家に契約書をチェックしてもらうことを推奨します。

実務上のリスク:現金支出と流動性

有償である以上、予約権取得のために現金支出が発生します。また、上場前企業の株式は換金が難しいため、株価が下がれば実損リスクが残ります。

実際にあった事例として、あるスタートアップで非上場株を有償取得したものの、IPOが長引き、売却できずに塩漬けとなってしまったケースもあります。

税務署への申告義務や対応の注意

非適格ストックオプションは税務申告が複雑になりがちです。特に行使後・売却後には必ず所得区分を正しく判定し、給与所得と譲渡所得を分けて申告する必要があります。

また、所得税だけでなく住民税、場合によっては社会保険料の影響もあるため、税理士に事前相談するのが安全です。

まとめ:魅力とリスクを理解して判断を

有償非適格ストックオプションは、企業の将来に期待する投資型報酬として有効ですが、税務・法務・キャッシュフロー面のリスクも存在します。契約内容や税制を理解し、長期的な視点で意思決定を行うことが重要です。

企業側の説明だけに依存せず、第三者の専門家(弁護士・税理士)を交えて冷静に判断することが、失敗を防ぐカギとなります。

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