株式の取引は電子化されているにもかかわらず、いまだに受渡日が取引日(約定日)から2営業日後(T+2)というルールが適用されています。この記事では、受渡日が即日ではない理由を制度・仕組みの観点からわかりやすく解説します。
そもそも株式の受渡日とは?
株式の受渡日とは、投資家が株式を売買した日から実際に株券の引渡しと資金の支払いが行われる日を指します。現在、日本を含め多くの国では「T+2」、つまり約定日の2営業日後に受渡しが行われる仕組みです。
たとえば、月曜日に株を購入した場合、水曜日に証券会社を通じて株式が受け渡されることになります。
電子化されても即時受渡にならない理由
株式取引は確かに完全に電子化されていますが、それでも「T+2」の猶予が設けられているのには複数の理由があります。
- 取引の照合・確認作業が必要:証券取引所・証券会社・証券保管機構など複数の機関間で、取引内容・数量・金額を正確に照合しなければなりません。
- 資金決済のための準備:大口取引などでは、資金移動や口座間送金などの調整が必要です。
- リスク管理:過誤やミス、決済不能のリスクを回避するため、最低限の猶予期間が設けられています。
世界の動向と日本の位置づけ
株式の受渡日短縮はグローバルな流れの中で進行しています。日本では2019年に「T+3」から「T+2」に変更されました。アメリカやカナダでも同様にT+2が導入されています。
なお、2024年5月には米国市場がT+1へ移行しましたが、日本では慎重な議論が続いており、インフラ・運用面の対応が今後の課題となっています。
受渡期間のリスクと投資家が注意すべき点
受渡日までの期間に注意が必要なケースには次のようなものがあります。
- 配当や株主優待の権利確定日:受渡ベースでの権利取得のため、T+2を考慮して売買する必要があります。
- 信用取引の決済や追証:期限までに資金や株式が届かないとトラブルになります。
このように、電子化だけでリアルタイム受渡にできないのは、法制度・業務処理・リスク対策といった複数の観点からの理由があるのです。
将来的にはリアルタイム化が進むのか?
ブロックチェーン技術やCBDC(中央銀行デジタル通貨)の発展により、株式取引のリアルタイム決済(T+0)も将来的に現実味を帯びてきています。ただし、現在の金融インフラ・制度では即時決済は困難とされており、段階的な変更が求められます。
投資家としては、現在の制度を正しく理解し、T+2を前提とした資金・リスク管理を行うことが最善の対策です。
まとめ:電子化=即時受渡ではない理由を理解しよう
- 株式の受渡日は「T+2」が国際標準
- 電子化されていても照合・決済の猶予が必要
- リスク管理と市場全体の安定性が優先されている
- 将来的なリアルタイム化の動きも存在するが慎重に進行中
「なぜリアルタイムで受渡されないのか?」という疑問はもっともですが、制度には裏付けと理由があります。制度の背景を理解し、納得のいく投資判断につなげましょう。

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