近年、ネット証券口座の乗っ取り被害が増加しており、特に資産を持つ個人投資家が狙われるケースが目立っています。株式の勝手な売却や資金の引き出しといった実害が報告される中、「どうやって他人の資産が出金されるのか?」「本人確認の仕組みは突破されるのか?」と疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、口座乗っ取りの実態とその仕組み、そして有効な対策について詳しく解説します。
ネット証券口座の乗っ取りとは何が起こるのか?
ネット証券口座が乗っ取られると、最初に行われるのはログイン情報の不正取得です。これは、フィッシングメールや使い回しパスワードによって突破されることが多く、二段階認証が設定されていない場合、ログインは比較的容易です。
不正ログインされた後は、口座内の株式を売却し、現金化されます。乗っ取り犯の目的はこの現金を自分の手に渡すことにありますが、ここで問題となるのが「出金先口座」です。
登録口座が本人名義の場合、出金はできないのでは?
ほとんどの証券会社では、出金口座として登録できるのは本人名義の銀行口座のみです。たとえ口座内資産を現金化しても、勝手に他人の口座に出金することはできません。
では、なぜ実際に被害が発生するのでしょうか?犯人は登録情報の変更を試みることで現金の引き出しを狙います。以下が主な手口です。
- 偽造身分証(運転免許証やマイナンバーカード)の提出
- 住所変更届・氏名変更届などを偽装し、郵送先を変更
- 郵送確認が必要な証券会社では、その書類を先に奪取
一部の証券会社では、出金先口座の変更時に書類提出+郵送確認が必要になりますが、犯人はここでも「なりすまし」を駆使します。
具体的な乗っ取り・出金の流れ(想定例)
典型的な事例として、以下のような流れが見られます。
- フィッシングでログインIDとパスワードを入手
- 本人情報(氏名・住所・生年月日)も別ルートで取得
- 証券口座へ不正ログインし、株式を全て売却
- 出金先口座を変更(要書類提出の場合は偽造)
- 登録住所も犯人管理の転送先へ変更
- 変更完了後に全額を犯人名義の銀行口座へ出金
このように、単なる「ログイン情報」だけでは実際の出金は難しいため、乗っ取り被害では本人確認情報の漏洩がセットで起きていると考えられます。
なぜ偽造書類で通ってしまうのか?
本人確認が厳格なはずの金融機関でも、高精度の偽造身分証や、写真貼り替えなどで本人になりすまされるケースがあります。特にオンライン上での画像アップロードによる確認では、偽造を見抜くことが難しい場合があります。
また、犯罪グループは「運転免許証を偽造する業者」と「口座を変更する実行犯」に分業していることが多く、非常に組織的です。郵便局を使った転送手続きや、架空名義での私書箱取得など、巧妙な手口が使われています。
被害を防ぐためにできる対策
口座乗っ取りを未然に防ぐためには、以下のような対策が有効です。
- 二段階認証(SMSまたは認証アプリ)を必ず設定
- 出金先口座の変更時に通知メールを設定
- パスワードは使い回さず、定期的に変更する
- 怪しいメールやリンクは絶対に開かない
- マイナンバーや身分証の画像をネットにアップしない
また、証券口座と銀行口座は連携しているため、金融機関のセキュリティ設定も見直すことが大切です。
まとめ:口座乗っ取りの脅威は“情報の複合的流出”から
証券口座の乗っ取りは、単なるID・パスワードの漏洩では終わりません。そこからさらに個人情報を収集され、身分証の偽造や郵送物の奪取まで行われてはじめて資金を抜き取られるのです。
一見、出金先が本人名義に限定されていることで安心と思いがちですが、そのルールさえも突破する犯罪グループの存在を認識し、今できる対策を徹底しましょう。金融資産を守る最大の防御は、“自分の情報を守る意識”です。

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