株式の損益通算による税・社会保険料の影響とは?メリットとデメリットをわかりやすく解説

株式

株式投資で利益と損失が出た場合、損益通算を行うことで税負担を軽減できる制度が存在します。しかし一方で、損益通算を行うことでかえって税負担や社会保険料が増えることもあります。本記事では、損益通算によってどのような場合に不利益が生じるかを、実例を交えて詳しく解説します。

損益通算とは?基本の仕組みをおさらい

株式の損益通算とは、上場株式の譲渡損失と配当所得、譲渡益などを合算し、税金を抑えるための制度です。たとえば配当収入が20万円、株の損失が20万円であれば、実質的に課税対象額が0円になります。

損益通算は主に「申告分離課税」における特定口座(源泉徴収なし)や一般口座の損益を確定申告する場合に利用されます。特定口座(源泉徴収あり)では自動的に税処理されるため、自身での申告が不要な反面、損益通算はされません。

損益通算による意外なデメリットとは?

損益通算の最大の落とし穴は、所得が増えることで、各種税や社会保険料が増加するということです。とくに住民税と健康保険料への影響が大きくなります。

たとえば配当所得は「総合課税」を選択すると給与所得と合算されるため、所得控除後の課税所得が増加し、国民健康保険料や介護保険料の計算基礎額が上がってしまいます。

具体例:所得や保険料がどう変わるか

例:給与所得が400万円の会社員が、年間30万円の配当所得を総合課税で申告したケース。配当控除により所得税は軽減される一方で、住民税の課税所得が増え、住民税が数万円単位で増加。また、国民健康保険加入者であれば、保険料が年間で1~2万円増えるケースもあります。

一方、配当所得を「申告不要制度」にするとこれらの影響を受けませんが、配当控除の恩恵もなくなります。つまり、選択によって結果が変わるため、試算が不可欠です。

どのくらいの金額で注意が必要か?

配当所得や譲渡益の合計が20万円を超える場合は、損益通算による影響が顕著に現れやすくなります。住民税や保険料は累進的な仕組みなので、金額が増えるほどインパクトが大きくなります。

特に「国民健康保険」加入者や「年金受給者」は、所得の増加が保険料や住民税、介護保険料にダイレクトに反映されやすいため、影響が強く出る傾向にあります。

損益通算すべきか迷ったときの判断基準

・扶養の範囲に入っていたい場合は慎重に
・保険料の軽減措置(所得割の対象)を受けている方は申告で不利になる場合がある
・還付される所得税と増加する住民税・保険料を比較する

また、損益通算しなくても損失は「損失繰越控除」によって翌年以降に使うことができます。確定申告で損失申告を行い、翌年以降に利益が出たときに通算するという選択肢もあります。

まとめ:損益通算は試算と判断が重要

損益通算は非常に有効な節税手段ですが、場合によっては住民税や健康保険料が増えるという副作用もあります。所得状況やライフスタイルに応じて、通算の有無や課税方式の選択は慎重に行うことが大切です。

最も確実なのは、確定申告前に税理士や市区町村の窓口に相談し、還付と負担の差額をシミュレーションしてもらうことです。知識と戦略を持って、損のない資産運用を目指しましょう。

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