トランプ大統領の発言が株価を大きく動かし、一部の関係者が巨額の利益を上げているという報道が話題になっています。「これはインサイダー取引ではないのか?」と疑問を持つ方も少なくありません。この記事では、米国におけるインサイダー取引の定義と、その適用範囲について詳しく解説します。
米国にも厳格なインサイダー取引規制が存在する
アメリカには「証券取引法(Securities Exchange Act of 1934)」に基づき、インサイダー取引を厳しく取り締まる制度があります。米国証券取引委員会(SEC)は、不正な株取引を摘発し、著名な企業幹部や政治家が摘発された例も少なくありません。
たとえば、マーサ・スチュワート氏は2004年にインサイダー取引により起訴され、禁錮刑を受けました。このように、たとえ有名人や政治家でも例外ではありません。
では、なぜトランプ氏の関係者が摘発されないのか?
ポイントは、トランプ氏の発言が「公開情報」であることです。大統領による政策発言や関税発表などは、原則としてメディアを通じてリアルタイムで報道されており、事前に情報を得た人物がいなければインサイダー取引に該当しません。
ただし、発言前に株を売買していた人物が、トランプ氏本人またはその側近から事前に内容を聞いていた場合は「ティッピング(tip-off)」とされ、インサイダー取引に問われる可能性があります。
実際に問題視された事例
2019年、トランプ大統領の関税発表直前に、特定のヘッジファンドが異常なタイミングで株価に関係するポジションを取ったことがあり、報道機関が「トランプ氏の友人ではないか」と疑念を報じました。しかし、この件に関してSECが摘発した記録は確認されていません。
また、連邦議員によるパンデミック直前の株売却問題(2020年)は大きな批判を浴び、議会改革の動きにつながりました。
米国の「合法的インサイダー取引」も存在する
アメリカには「フォーム4(Form 4)」により、企業の役員や大株主が保有株を売買する際の報告義務があります。これに基づく取引は合法ですが、報告が遅れたり、事前に戦略的発言があった場合は問題視されます。
つまり、合法的な取引と違法な取引は紙一重で、判断には情報の公開タイミングと入手経路が重要なのです。
投資家ができる自己防衛とは?
大統領発言による相場変動に巻き込まれないためには、短期的なニュースに過度に反応せず、企業のファンダメンタルズに基づいた長期投資を心がけることが有効です。
また、SECの公開データベース「EDGAR」を活用して、企業関係者の株売買履歴を確認することで、疑わしい動きをチェックすることも可能です。
まとめ:インサイダー取引は存在するが、証明は困難
米国にはインサイダー取引を禁止する明確な法律があり、多くの摘発例もあります。ただし、トランプ氏のような影響力のある人物による発言が「公開情報」とされる限り、その事前利用を証明することは極めて難しいのが現実です。
私たち投資家は、短期的な情報よりも中長期的な企業の価値に注目し、リスクを回避する戦略を選ぶことが求められます。

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