日本銀行が金融政策を行う際の手段の一つに「預金準備率操作」があります。バブル崩壊前にはしばしば活用されていましたが、現在ではその実施は見られません。それでは、制度そのものが廃止されたのか、それとも「使われていないだけ」なのか。高校生でも理解しやすいように、金融政策の歴史と現状を踏まえて解説します。
預金準備率とは?基本的な仕組み
預金準備率とは、銀行が預かった預金に対して一定割合の金額を日本銀行に預けておく義務がある制度です。例えば預金が100億円あれば、そのうち数%を日本銀行に預けておかなければなりません。この準備金を通じて、日銀は市中に出回るお金の量(マネーサプライ)を調整できる仕組みです。
準備率が高くなれば、銀行は貸し出しできる資金が減るため、景気は抑制されます。逆に準備率が低くなると、貸し出し余力が増し、景気刺激効果があります。
1991年以降、なぜ操作されていないのか?
1991年を最後に、預金準備率は一切変更されていません。その理由は、1990年代以降のデフレ経済や低金利政策においては、準備率操作よりも政策金利や量的緩和(QE)など、より直接的で効果的な金融政策手段が導入されてきたためです。
また、現代の日本では民間銀行が預金準備義務以上の額を自主的に日本銀行に預けており、準備率をいじること自体が大きな政策効果を持たなくなっているという背景もあります。
現在の預金準備率はいくら?
2025年時点でも、制度としての預金準備率は存続しており、以下のように定められています(日本銀行の公表資料より)。
金融機関の種類 | 預金準備率 |
---|---|
普通銀行(大手行) | 1.3% |
第二地方銀行 | 0.8% |
信用金庫・農協等 | 0.05% |
つまり、制度は存在しており、各金融機関が守るべき準備率も定められているということです。ただし、この数値自体が1991年以降変わっていない点は重要です。
預金準備制度の役割はなくなったのか?
結論からいえば、制度そのものは残っており、金融機関も準拠しています。ただし、日本銀行がこの制度を積極的な金融政策として活用する局面は極めて少なくなりました。近年ではマイナス金利政策や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)といった新しい手段が重視されています。
ただし、将来インフレが進行した場合などには、再び預金準備率操作が活用される可能性も否定はできません。
高校生の政経学習に役立つ視点
政経でこのトピックが出題される際には、「制度は存続しているが、操作は行われていない」という視点がポイントです。また、なぜ操作されていないのか、代替手段は何かを押さえておくと理解が深まります。
実際の入試問題でも、制度の変化や実効性について問われることがあるため、知識だけでなく背景の理解も重要です。
まとめ:預金準備率の現在と未来
預金準備率という制度は今も残っていますが、1991年以降は一度も操作されていません。その背景には日本経済の構造変化と、他の金融政策手段の発展があります。将来的には経済状況に応じて再び注目される可能性もあるため、制度の意義と現状の両方を知っておくことが重要です。

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