金融の信用創造とは、銀行が預金の一部を貸し出すことによって、実際のお金以上の経済活動を可能にする仕組みです。このプロセスを通じて、世の中に流通する通貨量が増え、経済を活性化させることができます。今回は、銀行がどの程度まで貸し出しできるのか、どんなルールに従っているのかを詳しく解説します。
信用創造の基本構造とは
銀行が預金を受け入れ、その一部を貸し出すことで新たな預金が生まれます。これを繰り返すことで、最初の預金額以上の通貨が経済に流通します。このプロセスを信用創造(credit creation)と呼びます。
例えば、100万円の預金が銀行に預けられ、10%の預金準備率が定められていた場合、銀行は90万円を貸し出すことができます。この貸出金が別の銀行に預けられ、また90%が貸し出されるという流れが続きます。
準備率と貸出限界の関係
銀行がどれだけ貸し出せるかを決定する重要な指標が「預金準備率(required reserve ratio)」です。これは、預かったお金のうち中央銀行に預けなければならない比率を意味します。
例えば、準備率が10%であれば、銀行は預金の90%を貸し出すことができます。この数値を使って、信用創造の最大額は以下の式で求められます。
信用創造の理論最大額 = 最初の預金 × (1 ÷ 準備率)
つまり、100万円の元手と10%の準備率ならば、最大で1,000万円の信用が生まれる可能性があります。
実際の日本の準備率は?
2025年現在、日本の預金準備率は金融機関の規模によって異なりますが、以下の通りです。
- 大手銀行:1.3%
- 地方銀行:0.8%
- 信用金庫など:0.05%
このような低い準備率により、日本の銀行は多くの資金を貸し出す余地があります。ただし、実際には準備率以上の資金を中央銀行に預けているケースが多く、準備率操作による影響は限定的です。
信用創造の限界と現実的な要因
理論上は上記のように「無限」に近い信用創造が可能ですが、実際には以下のような制約があります。
- 借り手の信用力(返済可能性)
- 貸出需要の有無
- 銀行のリスク管理ポリシー
- 金融庁などの規制や自己資本比率規制(バーゼル規制)
たとえば、景気が悪化している局面では、銀行側が融資に慎重になったり、借り手側が融資を控えたりするため、信用創造のペースは鈍化します。
実例:100万円の預金がどれだけ増えるか
仮に準備率が10%とすると、以下のように信用創造が連鎖的に続きます。
- 第1段階:貸出90万円(10万円は準備金)
- 第2段階:貸出81万円(9万円は準備金)
- 第3段階:貸出72.9万円(8.1万円は準備金)
このように段階的に続いていき、合計すると最終的に約1,000万円の信用が創造される可能性があります。
まとめ:信用創造の理解は経済学の基本
信用創造は、経済における資金供給の根幹に関わる重要な概念です。銀行は準備率に応じて貸出可能額を決定しますが、実際の貸出には市場の需要やリスク評価が大きく影響します。仕組みを理解することは、金融リテラシーを高めるうえで不可欠です。

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