有限会社における株式の譲渡や買い取りは、会社法上や契約実務において注意すべき点が多く存在します。とくに、株主の一人から会社が自社株を買い取るケースでは、適法な手続きと明確な理解が求められます。本記事では、株式買い取りの流れや、買い取り後の株主総数の取り扱いについて、実務例を交えてわかりやすく解説します。
有限会社における株式の譲渡と会社買取の基本
有限会社は、原則として株式の譲渡に制限があります。株式を譲渡するには、他の株主全員の同意が必要であり、会社が株を買い取る場合でも、この承諾のルールは適用されます。
会社が株式を取得することは「自己株式の取得」として扱われます。自己株式の取得には、会社の利益配当可能額の範囲内であることや、定款・社員総会の決議に基づくことなどが求められます。
株式買い取りの手順:自己株式の取得の流れ
- 買い取りの同意を得る(他株主の同意が必要)
- 定款に取得の定めがあるか確認
- 社員総会で買い取りを決議(取得条件や価格も議決)
- 譲渡契約書の作成と署名捺印
- 資金の支払いと株式名簿の変更
なお、買い取り後の自己株式は基本的に議決権を持ちません。会社が消却するか、将来的に再度譲渡するかなどの取り扱いを検討することになります。
株式買い取り後の株主総数はどうなる?
買い取り後の株式は会社の「自己株式」として保有されます。これは法的には株主には含まれないため、株主総数は一人減った状態(5名→4名)になります。
例えば、もともと5名の株主で構成されていた有限会社が、そのうち1名の株式を会社が買い取った場合、株主名簿に名前が残るのは4名のみです。自己株式には議決権がないため、株主総会の定足数や議決数にも影響があります。
実例:家族経営の有限会社での株式買い取り
たとえば、家族経営の有限会社で兄弟5名が株主になっていたケースで、1名が会社から離れるために持株を会社が買い取った事例があります。社員総会を開催し、定款に沿った手続きで買い取りを行い、自己株式として保有した結果、株主総数は4名になりました。
このように、事前に法律や定款に基づいた適正な手続きを踏むことで、トラブルを避けることが可能です。手続きが不明な場合は、司法書士や行政書士に相談することも重要です。
注意点と専門家の活用
自己株式の取得には、会社法上の制限があるだけでなく、税務上の取り扱いもあります。たとえば、取得した株式の処分や評価額によっては、法人税や譲渡所得課税が生じることがあります。
また、手続きが不備だと、買い取りが無効と判断される恐れもあるため、専門家(司法書士・弁護士・税理士)との連携が重要です。とくに定款の内容確認や議事録の作成は専門的な知識が必要です。
まとめ:適正な手続きを踏んで株式買い取りを
有限会社が株主の一人から株式を買い取るには、定款や社員総会の決議に基づいた明確な手続きを踏む必要があります。買い取り後は、株主総数が実質的に一人減るため、議決権や運営体制にも影響を与える可能性があります。
将来的な経営方針や株主構成を見据えた上で、適切な手続きを行うことが重要です。判断に迷う場合は、必ず法務や税務の専門家に相談しましょう。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント