近年、米ドルの信認低下や米国株のバブル崩壊懸念が各メディアや専門家の間で話題になっています。もし実際にドルが崩壊し、米国株が暴落すれば、世界経済に深刻な影響を与えることは避けられません。では、そのとき私たちが直面するのは「インフレ」なのでしょうか、それとも「デフレ」なのでしょうか。本記事では、その複雑な因果関係と可能性のあるシナリオについて解説します。
ドル崩壊とはどういう状態か?
「ドル崩壊」とは、米ドルの価値が急激に下落し、国際的な基軸通貨としての地位を失うような事態を指します。これは、米国の財政赤字・貿易赤字・金融緩和の長期化などが要因となり、通貨供給量が過剰になりすぎた結果として起こり得ます。
たとえば、過去にジンバブエやアルゼンチンでは通貨の信頼が失われ、ハイパーインフレが発生しました。ドルがこのような状況に陥ると、世界中でドル建て取引に依存していた経済システムが大混乱に陥ります。
米国株の暴落とその波及効果
米国株は世界経済の中心的存在です。主要インデックスであるS&P500やNASDAQが大幅に下落すると、それに連動したETFや世界中の年金・投資ファンドにもダメージが及びます。
実例として、2008年のリーマンショックではアメリカ発の金融危機が瞬く間に世界中に伝播し、株安とともに信用収縮(=デフレ的圧力)が進行しました。
インフレとデフレの同時進行が起こり得る理由
ドル崩壊と株価暴落が同時に起きた場合、インフレとデフレが複雑に交錯する現象が発生する可能性があります。具体的には次のような状況が考えられます。
- インフレ的要因:ドル安による輸入物価の上昇、原材料・エネルギー価格の高騰
- デフレ的要因:株式・資産価格の急落、消費・投資の冷え込み、信用収縮
これを「スタグフレーション(停滞下の物価上昇)」と呼び、政策対応が非常に難しい状態とされています。
過去の危機から学ぶインフレ・デフレの分岐点
リーマンショック時は、主に「デフレ型不況」が発生しました。一方、1970年代のオイルショックでは、供給側の制約から「インフレ型不況」が起きました。
仮にドルが崩壊し、国際原材料市場でドル決済が不安定になると、各国は代替通貨や貿易ルートを模索する動きが加速し、原材料の供給コストが上昇する可能性があります。このようなケースでは、世界的なインフレ圧力が強まります。
中央銀行の対応が運命を分ける
ドル崩壊や株価暴落が起きた際、各国の中央銀行がどのような政策を取るかによってインフレかデフレかが決定づけられます。
たとえば、大規模な金融緩和と財政出動を行えば、短期的にはインフレ圧力が強まります。逆に、金利を引き上げて通貨価値を守る動きが広がれば、信用収縮によるデフレ圧力が増す可能性があります。
まとめ:状況によってインフレとデフレは複雑に入り交じる
ドルの崩壊や米国株の暴落が現実化すれば、単純に「インフレ」か「デフレ」かという二択で語ることはできません。むしろ地域や経済層によって異なる影響が現れ、資源インフレ・生活必需品の値上げと、同時に実質所得や資産価値の下落によるデフレ的要因が混在するシナリオが濃厚です。
そのため、投資家・生活者としては、単一の経済指標に頼らず、複数の可能性を想定したリスク分散の視点が必要です。

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