価格規制と余剰分析を図解で理解する|経済原論の基本をわかりやすく解説

経済、景気

経済学の基礎である「価格上限・下限」や「生産者余剰・消費者余剰」の理解は、市場のメカニズムを知る上で非常に重要です。この記事では、これらの概念について図の描き方や具体的な事例を交えて丁寧に解説していきます。

価格上限と価格下限の違いとは?

価格上限(上限価格)は「この価格より高く売ってはいけない」という規制で、主に生活必需品の価格抑制のために設けられます。反対に価格下限(下限価格)は「この価格より安く売ってはいけない」と定めるもので、農産物などの価格安定が目的です。

たとえば、家賃の高騰を防ぐために家賃の上限が設定された場合、供給者が少なくなり、結果として借りたい人が多くても借りられない=供給不足が発生します。これが価格上限によって財の不足が起きるメカニズムです。

図の描き方:価格規制による市場の歪み

まず、縦軸に「価格」、横軸に「数量」を取り、右下がりの「需要曲線(D)」と右上がりの「供給曲線(S)」を描きます。需要と供給が交わる点が市場均衡です。

価格上限:均衡価格より下に水平な線(上限価格)を引くと、需要量が供給量を上回り、需要超過=供給不足の三角形が生まれます。
価格下限:均衡価格より上に線(下限価格)を引くと、供給量が需要量を上回り、供給過剰が発生します。

生産者余剰と消費者余剰とは何か

市場均衡点では、取引される価格と数量が自然に決まります。このとき、得をしているのは「消費者」と「生産者」の両方です。

  • 消費者余剰:支払っても良い価格と実際の価格との差額(満足の余り)
  • 生産者余剰:売っても良い価格と実際の価格との差額(利益の余り)

消費者は安く買えたことで、供給者は高く売れたことで、それぞれの「得」を享受しています。

図の描き方:余剰の視覚的理解

再び需要曲線と供給曲線を交差させて、市場均衡を示します。

消費者余剰は需要曲線と価格線の間の三角形で、上側に位置します。
生産者余剰は価格線と供給曲線の間の三角形で、下側に位置します。

例えば、ある商品の均衡価格が1,000円で、消費者は1,500円でも買う気があった場合、その差額の500円分が消費者余剰になります。

価格規制が余剰に与える影響

価格上限が設けられると、生産者は収益が下がり、生産者余剰が縮小します。逆に価格下限では消費者が損をし、消費者余剰が減少します。また、どちらの場合も「死荷重(デッドウェイトロス)」という社会全体の損失が発生します。

この死荷重も図上では余剰三角形の外側に新たに生まれる無効なスペースとして描けます。経済効率が落ちることを意味する重要な概念です。

まとめ:図を活用して経済の基本を押さえよう

価格上限は供給不足を、価格下限は供給過剰を生み出します。そして、それぞれが生産者余剰・消費者余剰に影響を与え、経済全体にとっての損失につながります。図を正しく描ければ、これらの関係性を視覚的に理解しやすくなるでしょう。問題に直面したときは、まず図から考えてみるのがおすすめです。

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