借金があるのに投資をするのは合理的か?リスクとリターンのバランスから考える賢い判断軸

資産運用、投資信託、NISA

「借金があるのに投資をしている人は、負けたときのことを考えていないのでは?」という疑問は、投資初心者から経験者まで共通して抱くテーマです。投資の基本原則に「なくなってもいい余剰資金で行うべき」という言葉がありますが、それでも借金を抱えながら投資を行う人が一定数いるのはなぜでしょうか。本記事では、その理由とリスク、そして慎重な判断を下すための思考法について整理します。

なぜ借金があるのに投資を選ぶ人がいるのか?

一部の投資家は、「借金返済に充てるよりも、投資の方がリターンが大きい可能性がある」と考えます。たとえば、金利3%の借金を抱えている人が、年利8%を見込める投資チャンスに資金を充てれば、理論上は5%の利ザヤを得られることになります。

また、起業家や不動産投資家などは、借入(レバレッジ)を戦略的に使って自己資本を拡張し、リスクをとって利益を最大化することもあります。これはあくまで「計算されたリスク」をとっている例であり、無謀なギャンブルとは一線を画します。

「余剰資金で投資すべき」の原則が生まれた理由

投資には元本割れのリスクが常につきまといます。だからこそ、生活資金や借金返済を圧迫するような資金を使うべきではないという教訓が、多くの金融リテラシー教育で語られてきました。

特に株式や暗号資産、FXなどのリスク資産は、価格変動が大きく、短期的に損失を被ることも珍しくありません。その際に借金が残っていれば、家計が破綻しかねないという現実的なリスクがあるのです。

リスク管理できるなら「借金しながらの投資」も否定はできない

あらかじめリスクシナリオを描き、損失が出た場合でも返済が続けられるようにキャッシュフローを管理している場合は、借金と投資を並行させる選択も戦略の一つとなり得ます。たとえば、住宅ローンを抱えつつも、iDeCoやつみたてNISAで堅実に長期運用している人も珍しくありません。

ただし、この場合でも「借金を投資に使っている」とは限らず、「借金とは別に余裕資金を捻出している」ことが重要な違いです。混同すると誤った判断に繋がります。

実例:借金と投資の両立で成功・失敗したケース

成功例としては、不動産投資ローンを利用しながら、物件の家賃収入を得てローン返済と利益を同時に達成する人がいます。これには物件選定、立地、空室率、金利の見通しなど綿密な分析が必要です。

一方、失敗例では、キャッシングやカードローンで投資資金を調達し、短期の株式投資や仮想通貨に投じて損失を抱え、返済が困難になったケースが後を絶ちません。借入金利が高い場合、損失が出ると返済負担が倍増し、信用情報にも悪影響を与える可能性があります。

健全な資産形成には優先順位の明確化が重要

借金と投資のどちらを優先すべきかは、金利や返済条件、投資対象、リスク許容度によって異なります。一般的には、高金利の借金(カードローン・消費者金融など)は早期返済を最優先すべきであり、低金利の住宅ローンなどであれば投資との並行も検討の余地があります。

自身の家計状況、返済能力、メンタル面の負荷なども総合的に判断し、無理のない戦略を立てることが肝要です。

まとめ:原則は「借金返済優先」、だが例外も存在する

投資の基本は「余剰資金で行うこと」ですが、現実には借金と投資を並行させることでリターンを狙う戦略も存在します。ただし、そのためには高度なリスク管理と知識、そして明確な目的意識が必要です。

「借金があるのに投資をしている」ことがすべて誤りとは言い切れませんが、損失時の影響を想定しない行動であれば、それは単なる無計画なリスクテイクにすぎません。健全な資産形成のためには、まず借金と向き合い、リスクを見極めた上で判断を下すことが最も重要です。

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