株式取引において「信用売り(空売り)」はよく使われる手法ですが、ふと「この建玉をそのまま現物株として保有できないのか?」と疑問に思うこともあるかもしれません。この記事では、信用売りと現物株の関係性について丁寧に解説し、仕組みや現実的な対応方法について具体的にご紹介します。
信用売りとは?仕組みをおさらい
信用売りとは、証券会社から株式を借りて売却し、後日安く買い戻して返却することで利益を狙う取引です。現物株とは異なり、手元に株がない状態で売る「空売り」の形式となります。
たとえば、ある銘柄を1,000円で信用売りし、その後株価が800円に下がったとします。このとき800円で買い戻せば、200円の差額が利益になります。ただし、期日内に買い戻さなければならず、金利や貸株料なども発生する点に注意が必要です。
信用売りを現物株にすることはできるのか?
結論から言うと、信用売りのポジションを直接「現物保有」に切り替えることはできません。信用売りはあくまでも借りて売る行為であり、そのポジションを現物株として転換する方法は制度上用意されていないのです。
現物株として保有するには、まず信用売りを買い戻して決済した後、改めて現物で購入し直す必要があります。これは手数料や約定タイミングのリスクを伴うため、切り替えには慎重さが求められます。
代用有価証券でのカバーや現引き・現渡しとの違い
信用取引には「現渡し」という制度もあり、これは信用売りの返済を、自分が保有している現物株で行う方法です。ただし、これは“信用売りを現物化する”行為とは逆のアプローチであり、「現物→信用の返済」になります。
また、信用買いポジションに対しては「現引き(現物引き取り)」が可能ですが、こちらは信用“買い”限定であり、信用“売り”には適用できません。
なぜ直接現物化できないのか?制度的背景
信用売りの株はあくまで「借り物」であるため、売った株式をどこかのタイミングで返す必要があります。これが制度的な制限であり、現物株とは性質が異なるため「所有権の移行」ができないのです。
このルールは、空売りによる市場操作を防ぐ意味でも機能しており、制度信用や一般信用の枠組みでも一貫しています。証券取引所や金融商品取引法に基づく制約のひとつです。
実例:信用売り後に現物で買い直したケース
たとえば、Aさんが信用売りで保有していた建玉について「将来的に上がりそう」と感じて買い戻し後、現物株として再取得するケースがあります。これは「信用決済+現物購入」という2段階の取引が必要となります。
このように、感覚的には「信用売り→現物保有」へとスライドさせたように見えますが、実際の取引では別物として扱われるのが現実です。
まとめ:信用売りと現物株は仕組みが異なる
✔ 信用売りのポジションは、直接現物株に転換することはできない。
✔ 一度買い戻しで決済した後に、現物での購入が必要。
✔ 現渡しや現引きは存在するが、用途が異なるので混同に注意。
✔ 制度上の制約によるもので、正しく理解してリスクを避けることが大切。
信用取引はリスクとリターンが表裏一体です。制度やルールを正しく理解したうえで活用することで、より安定した投資運用が可能になります。

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