米国の政策金利が変動したとき、オルカン保有者にとって有利なのは円高か円安か?

経済、景気

為替相場と金利政策は、グローバル投資家にとって切っても切り離せない重要なテーマです。近年の円安進行や米国の利上げ局面により、海外資産を保有する投資家は多くの恩恵を受けてきましたが、今後金利が引き下げられる局面ではどうなるのでしょうか?この記事では、オルカン(eMAXIS Slim全世界株式〈オール・カントリー〉)などの外国株投資信託を保有する投資家の視点から、金利と為替の関係、資産への影響について解説します。

米国の政策金利が下がると為替はどうなる?

一般的に、米国の政策金利が下がると、米ドルの魅力が相対的に低下し、為替市場では円高ドル安に動きやすくなります。これは、金利差を狙ったキャリートレードの巻き戻しが起きやすくなるためです。

ただし、必ずしも金利だけで為替が動くわけではなく、地政学リスクや日本側の金融政策の動向も複雑に影響します。したがって、円高が「確定」するわけではなく、「円高圧力が高まる」傾向と考えるのが適切です。

為替とオルカンの基準価額の関係

オルカンは世界中の株式に分散投資していますが、そのほとんどが日本円以外の通貨建てです。そのため、円安はオルカンにとってプラス要因であり、円高は逆に基準価額の下落要因となります。

たとえば、米国株が変動しない場合でも、1ドル=150円から140円に円高が進むと、それだけで基準価額は円換算で約6.7%目減りする可能性があります。

金利低下で株価は上がる可能性がある

一方、政策金利が引き下げられると、市場では借入コストが下がるため企業の業績改善が期待され、株価が上昇する傾向があります。特に米国市場は金利動向に敏感で、グロース株やハイテク株が先行して買われる傾向があります。

たとえば、2020年のコロナショック後に米国がゼロ金利政策を再導入した際、NASDAQは急騰しました。このように、金利低下は株高要因になりやすいという事実があります。

円高と株高、どちらが影響を強く与えるか?

オルカン保有者にとっては、「円高による為替差損」と「株高による基準価額の上昇」が相反する要素になります。どちらの影響が強いかはその時の為替変動率と株価の上昇率によって異なります。

たとえば、米国株が10%上昇し、為替が5%円高になった場合、トータルで約5%のプラスになります。逆に株価が横ばいでも為替が10%円高になると、その分の資産減少が起こります。

中長期的に見るべき視点とは

中長期的に資産形成を目的とするオルカン投資では、短期的な為替変動よりも、世界経済全体の成長を取り込むことが重要です。為替は予測が難しく、短期的に一喜一憂するより、ドルコスト平均法を用いて継続的に積立を行う方がリターンが安定しやすいといえます。

また、為替の影響を抑えたい場合は「為替ヘッジあり」の投資信託も検討材料となりますが、ヘッジコストがかかるため注意が必要です。

まとめ:金利と為替の影響を冷静に見極める

米国の政策金利が下がれば、円高要因となる可能性がありますが、それと同時に株高要因にもなり得ます。オルカンを保有する投資家にとっては、円高による資産の目減りリスクと、株高による恩恵をバランスよく見極めることが重要です。

短期の動きに過敏になるのではなく、中長期の視点で「世界経済の成長に乗る」というオルカンの本来の目的を重視し、継続的な運用を心がけましょう。

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