外貨積立を行っていると、「トータルリターン」と「評価損益」という2つの異なる指標が表示されることがあります。これらはどちらも投資成果を表すものですが、計算方法や意味が異なるため、数字に差が出ることもしばしば。本記事では、それぞれの指標の意味と違い、そしてなぜ差が生じるのかを具体例を交えて解説します。
トータルリターンとは?その定義と計算式
トータルリターンとは、「その投資全体を通して得られた総合的な損益」を表す指標です。具体的には以下のように計算されます。
トータルリターン = 受取金額 + 評価金額 − 投資金額 − 外貨入金額
この計算では、すでに受け取った金利や為替差益・差損、そして現在保有中の評価額も加味されるため、いわば「現時点までの総合的な成果」を示しています。
評価損益とは?為替変動の影響に注目
評価損益は、現在保有している外貨資産が為替レートの変動によって、いくら増減しているかを示すものです。以下の式で算出されます。
評価損益 = 外貨残高 ×(現在の為替レート − 平均預入レート)
この指標は、あくまで「今ある外貨の円換算評価額」と「預けた時のレートとの差」に注目しており、受け取った利息や過去の出金分などは含まれません。
トータルリターンと評価損益の差が出る理由
この2つの指標に差が出る主な理由は、計算対象となる項目の違いです。トータルリターンは「実際に得た金利」や「売却済みの為替益」なども含まれるのに対し、評価損益は「現在の残高に基づく評価額」だけに焦点を当てているため、両者が一致することはあまりありません。
たとえば、途中で一部の外貨を売却して利益確定していれば、トータルリターンはプラスでも、評価損益はマイナスになるケースもあります。
具体例で理解を深める
たとえば、次のようなケースを考えましょう。
- 投資金額:100,000円
- 平均預入レート:1ドル=100円
- 現在の為替レート:1ドル=95円
- 保有外貨:1,000ドル
- これまでに受け取った利息:2,000円
この場合、評価損益は「1,000ドル × (95円 − 100円) = -5,000円」、一方でトータルリターンは「評価金額 95,000円 + 利息 2,000円 − 投資金額 100,000円 = -3,000円」となり、損益に差が出ることがわかります。
どちらを重視すべき?投資判断の視点
評価損益は「今すぐ売却したらいくらの損益か」がわかるので、短期的な判断材料として有効です。一方でトータルリターンは、長期的な運用成績を把握するのに適しており、分配金や金利なども含めた実質的な成果を示しています。
つまり、評価損益は現状の確認、トータルリターンは全体の運用成果と考えると、それぞれの意味を適切に使い分けることができます。
まとめ:目的に応じて使い分けることが大切
「トータルリターン」と「評価損益」は一見似ているようで、実際には注目するポイントや対象が異なります。どちらが正しいというわけではなく、目的に応じて使い分けることが資産運用では大切です。外貨積立を長期的に続けるなら、トータルリターンを重視しつつ、定期的に評価損益も確認してリスクを把握するバランス感覚が重要となるでしょう。

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