日銀発行券と国債の関係とは?出回る日本円とその裏付けの仕組みを解説

経済、景気

私たちが日常的に使っている日本円(紙幣や貨幣、預金通貨など)は、日本銀行が発行・供給しています。しかし、その背後にある「国債」との関係については、意外と知られていません。この記事では、日本円と国債の関係、そしてその仕組みについて丁寧に解説していきます。

日本銀行が発行するお金とは?

日本銀行が発行する紙幣は「日本銀行券」と呼ばれ、法定通貨として通用します。また、私たちが銀行口座に預けている「預金」も含めた通貨供給量(マネーストック)は、金融機関との取引を通じて世の中に流通します。

これらの通貨は、日銀が「通貨の番人」としての役割を担いながら発行しており、その供給には常に経済全体の安定性が考慮されています。

日銀が通貨を発行する仕組みと国債の役割

日本銀行は、民間銀行に対して「当座預金」や「現金(日銀券)」を供給する際に、担保として「国債」を受け取ることが一般的です。このため、結果的に日本銀行のバランスシートには、資産として「国債」が多く記載されます。

つまり、日銀が通貨を供給する背景には、国債の購入(買いオペ)や貸付時の担保としての国債があり、結果的に世の中に流通しているお金のかなりの割合は、国債によって裏付けされていると言えます。

発行された通貨と国債の金額は一致しているのか?

これは重要なポイントですが、「発行された通貨=国債の額」という単純な関係ではありません。通貨の発行量(マネタリーベース)は経済状況に応じて調整されており、日銀が保有する資産の中に国債が含まれているという形になります。

例えば、2024年時点で日銀が保有する国債残高はおよそ580兆円に達しており、日本のマネタリーベース(現金通貨+金融機関の当座預金)も同程度に膨らんでいますが、完全に一致しているわけではありません。詳しくは日本銀行「マネタリーベースの推移」をご参照ください。

なぜ国債が担保として使われるのか?

国債は、信用力が極めて高い「無リスク資産」として扱われており、金融取引の担保として非常に適しています。日銀も、市場への資金供給を行う際に国債を担保とすることで、安全かつ効率的にオペレーションを行うことができます。

また、日銀が国債を大量に保有することで、長期金利の安定や金融緩和政策の実行にもつながっています。

通貨発行における信用と制度の重要性

管理通貨制度のもとでは、通貨の信用は金の裏付けではなく、中央銀行や政府の信用によって成り立っています。国債が通貨の裏付けとなるのは、あくまで金融取引の仕組みとして機能しているためであり、「交換可能な資産」としての国債があるからこそ、流動性のある通貨供給が可能になるのです。

このように、国債と通貨の関係は密接ですが、それは経済を支える制度と信頼によって維持されているのです。

まとめ:通貨の発行と国債は密接だが同額ではない

日本銀行が発行する通貨の多くは、国債の購入や担保によって支えられていますが、発行された通貨と国債の総額が必ずしも一致するわけではありません。日銀の資産としての国債保有が多いのは事実ですが、それは経済政策や市場安定の一環であり、制度的な信用によって運営されている点が本質です。

こうした仕組みを理解することで、通貨と財政の本質的な関係性により深くアプローチすることができます。

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