高利回りをうたう毎月分配型の投資信託は、特に資産運用の安定性を求めるシニア層や退職金運用層に人気があります。その中でも「インベスコ世界厳選株式オープン(毎月決算型)」は、長年にわたり一定の支持を集めてきました。しかし「5,000万円を投資すれば毎月50〜60万円の分配金が得られる」と聞けば、多くの人が「そんなにウマい話あるの?」と疑問を抱くのも当然です。本記事では、その仕組みと注意点をわかりやすく解説します。
インベスコ世界厳選株式オープンとはどんなファンドか?
このファンドは、主に先進国の配当利回りの高い大型株を中心に投資し、為替リスクも加味したグローバル運用を行うアクティブファンドです。名称の通り毎月分配型で、過去には高額な分配金を出していた時期もあります。
ファンドは円建てで運用されますが、実際の投資先は米国や欧州などの外貨建て資産が中心です。そのため、為替変動や金利環境、株式市場のボラティリティが直接パフォーマンスに影響します。
毎月の高額分配金の正体:「特別分配金」とは?
「月50万円の分配金」は、実際に発生した配当や運用益だけで構成されているわけではありません。多くの場合、「元本払戻金(特別分配金)」が含まれており、これは投資元本を取り崩して分配金に充てているものです。
つまり、表面上の分配金額が多くても、実際には自分の資産を一部ずつ取り崩している可能性があり、資産総額が減っていくリスクが潜んでいます。これを理解せずに利回りだけを見て飛びつくのは危険です。
高額投資に潜む「逆ザヤリスク」
例えば5,000万円投資し、毎月50万円の分配金があるとします。これは年換算で12%の利回りに相当しますが、これが安定して得られる保証はありません。ファンドの運用成績や為替の変動次第で、分配水準は引き下げられることもあります。
特に近年の金利上昇局面では、株式市場の変動も激しく、為替も円安から円高へと振れた場合に影響が大きくなります。結果として、「分配金は得たけど元本は大きく目減りしていた」という事態に陥るリスクも否定できません。
分配金だけに注目せず、トータルリターンで評価を
投資信託を評価する際は、分配金額だけでなく「基準価額(ファンド自体の価値)」の動きにも注目しましょう。高分配を維持していても、基準価額が下がり続けていれば、実質的には資産が目減りしています。
また、特別分配金が多い場合、課税対象外となるため税制面でのメリットもありますが、それは「利益が出ていない証拠」でもあるという点は見逃せません。
具体例:実際に投資した人の失敗談
ある60代の投資家が、退職金3,000万円をこのファンドに投じ、月30万円の分配金を数年間得ていました。しかし、数年後に元本を確認すると、2,000万円を切っており、実質的にかなりの資産を減らしていたことが判明しました。
一方、長期的に保有し、分配金を再投資しながらリスク分散を徹底した投資家は、比較的安定した運用を実現しているケースもあります。結局は戦略と理解度の違いが明暗を分けるのです。
まとめ:利回りの高さは魅力でも、盲信せず慎重に判断を
「毎月高額な分配金」は魅力的に見えますが、それが元本を削ってのものであれば資産形成の意味がなくなります。インベスコ世界厳選株式オープンのような商品は、高分配が続く背景をよく理解し、自身の投資方針やライフプランと合っているかを確認することが重要です。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
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