株式投資を検討する際、営業利益や経常利益の推移をチェックすることは基本ですが、まれに「営業利益が低迷しているのに、経常利益や純利益が高い」というケースがあります。2024年以降のHSホールディングス(証券コード:8699)もまさにその一例です。この記事では、その背景や仕組みについてわかりやすく解説します。
営業利益と経常利益の違いを再確認
まず、営業利益は「本業の儲け」を示す指標で、売上から売上原価や販売費・管理費を引いたものです。一方、経常利益は営業利益に「営業外収益」や「営業外費用」を加減算したものになります。
このため、金融業を営む企業では、営業外収益が多い場合、営業利益よりも経常利益の方が大きくなることがしばしばあります。とくに証券会社などでは、有価証券の売買や持ち株運用による配当・利息収入などが大きな比重を占めます。
2024年以降のHSホールディングスの利益構造
HSホールディングスの決算を見ると、2024年には営業利益が50億円にとどまる一方、経常利益は158億円と大きく乖離しています。2025年、2026年予想でも営業利益は赤字、しかし経常利益は150億円超と黒字が見込まれています。
これは、主に「営業外収益の安定性」に起因しています。具体的には、持株会社としての資産運用収益(配当金収入、金利収入など)が本業の証券業に加えて大きな収益源となっており、これが営業利益と経常利益の差を生んでいるのです。
特別利益ではない可能性が高い
特別利益とは、固定資産の売却益や一時的な税務効果など、継続性のない利益を指しますが、HSホールディングスの場合、複数年にわたって安定して経常利益が高水準を維持していることから、これは一過性の特別利益ではない可能性が高いと考えられます。
例えば、グループ内の中核企業であるHS証券が有価証券ポートフォリオから毎期安定した収益を上げていたり、グループ内からの配当が継続的に流入しているといった構造が推測されます。
注意点:営業利益の赤字は無視できない
ただし、投資判断として注意すべきは、営業利益の赤字が続く点です。これは、本業にあたる証券・投資関連事業の収益力が落ちていることを示しており、今後の収益性や成長性に懸念があるともいえます。
仮に外部環境(市況悪化や金利動向など)が変化し、営業外収益が減少すれば、経常利益にも影響が出る可能性があるため、構造的な利益の質を見極める必要があります。
具体的な投資判断の視点
以下のような視点でチェックするのがおすすめです。
- 営業外収益の内訳は何か?(主に配当?利息?持分法?)
- それらの収益は再現性・継続性があるか?
- 営業利益の赤字は一時的要因か構造的要因か?
- 他社(特に証券持株会社)と比較したときの利益構造の違い
例えば、野村ホールディングスや大和証券グループと比較することで、営業外収益の水準や継続性の特徴をつかむことができます。
まとめ:利益の質と持続性を見極めよう
HSホールディングスの経常利益が営業利益を大きく上回っているのは、特別利益による一時的な要因ではなく、営業外収益に強みを持つビジネスモデルによるものと考えられます。ただし、本業の収益力低下が見える中、今後も同様の利益水準が維持できるかどうかは精査が必要です。
投資判断にあたっては、「利益の額」だけでなく「利益の中身」にも注目し、継続性・安定性・再現性の視点を持つことが重要です。

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