雇用統計は経済の健康状態を測る重要な指標です。アメリカの雇用統計は世界中の投資家や政策決定者から注目される一方で、政府主導の統計であることから「操作されているのでは?」といった疑問を持つ人もいます。本記事では、アメリカの雇用統計の信頼性や、補完的に使える民間データについて解説します。
雇用統計は誰が作っているのか?
アメリカの雇用統計は、労働省傘下の労働統計局(Bureau of Labor Statistics: BLS)が月に一度発表しています。主に2つの調査がベースです。
- 家計調査(Household Survey):失業率や労働参加率を測定
- 事業所調査(Establishment Survey):非農業部門雇用者数(NFP)や平均時給などを測定
どちらもサンプルベースの統計で、統計手法や補正プロセスは透明に開示されています。
統計が「操作」される可能性はあるのか?
アメリカは統計の信頼性と独立性を重視する国です。BLSは連邦政府の一部ではありますが、政治的影響を受けにくい制度設計となっており、改ざんのような行為は非常にリスクが高いため事実上困難です。
一方で、統計手法によって「見え方」が変わることはあります。季節調整や定義の違い、また調査時点のズレなどから解釈が分かれることもあります。
中国やロシアとアメリカの統計の違い
中国やロシアのような権威主義体制では、経済統計が政府の都合に合わせて調整されることが国際的にも指摘されています。しかし、アメリカでは議会やメディア、市場参加者による厳しい監視があるため、不正があればすぐに問題化します。
とはいえ、「政治的思惑がゼロ」とまでは言い切れません。選挙前の時期などは、発表時期やトーンに注目が集まることもあります。
アメリカ経済の実態を把握する民間指標
政府統計だけでは捉えきれない景気の実態を補完するために、以下のような民間データが活用されています。
- ADP雇用統計:給与計算代行大手ADP社が発表。NFPの先行指標とされる。
- ISM製造業・非製造業指数:景況感を表す指数で、雇用や受注状況の変化が分かる。
- JOLTS(求人労働異動調査):求人件数や離職率がわかり、労働市場のひっ迫具合を確認できる。
- ミシガン大学消費者信頼感指数:家計のセンチメントを把握する上で有用。
また、GoogleやIndeedなどの求人トレンド、交通量、電力消費量なども、リアルタイムに近い指標として注目されています。
指標の担当者が変わると数字が変わるのか?
理論的には統計の「担当者」が変わっても、制度やガイドラインが整備されている限り、手法や結果に大きな違いは出ないはずです。
ただし、手法の見直しや再定義が行われることはあります。たとえば、労働市場の構造変化やパンデミック時のような特殊要因が出た場合には、過去データの修正や新しい補正方法が採用されることもあります。
まとめ:信頼性の高い統計には複眼的な視点が必要
アメリカの雇用統計は、世界的に最も注目される経済指標の一つですが、盲信するのではなく、複数の統計や民間データと照らし合わせて判断することが重要です。
また、個人投資家としても、1つの指標の変化だけで判断するのではなく、トレンドや市場全体の反応を見る目を養うことが、情報に振り回されずに判断する力につながります。

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