米国ストリップ債の魅力とは?利付債と比較した投資家の目的と戦略

資産運用、投資信託、NISA

米国国債の中でも「ストリップ債」は、利付債とは異なる特性を持つ金融商品です。定期的な利払いのないこの債券を、なぜあえて選ぶ投資家がいるのでしょうか。この記事では、その目的や活用法について解説します。

■ ストリップ債とは何か?基本の仕組み

ストリップ債(STRIPS:Separate Trading of Registered Interest and Principal Securities)とは、米国財務省が発行する利付国債から利息部分と元本部分を分離し、それぞれ個別に売買可能としたゼロクーポン債です。

例えば、10年満期の利付債は、20回の利払い(半年ごと)と最終償還時の元本部分に分割でき、それぞれ別個の債券として取引されます。

■ ストリップ債を選ぶ投資家の動機

1. 長期投資で複利効果を得たい投資家
ストリップ債は利払いがない代わりに、満期時に額面で償還されます。つまり、安く買って満期に100%で受け取る差額がそのまま利益となります。利息を再投資する手間がなく、資産を自動的に複利運用する感覚で活用できます。

2. 将来の資金需要に合わせて設計したい人
教育資金や住宅購入資金、退職金など、10年後・20年後にまとまった金額が必要な場合に、その時点での確実な受取額を事前に設計しやすいのが特徴です。

■ 利付債との違いと比較

利付債は半年ごとの利払いによって「インカムゲイン(定期収入)」が得られる一方、ストリップ債は「キャピタルゲイン(差益)」のみが利益の源泉です。この違いが投資家の好みや目的に大きく影響します。

項目 利付債 ストリップ債
利息支払い 半年ごとにあり なし
利回り計算 表面利率による 割引率による
再投資の必要 あり(利息分) なし(自動複利)

■ ストリップ債の活用例

例1:10年後に大学進学資金として500万円必要
ストリップ債で10年満期・年利3.5%で運用すれば、約355万円の投資で10年後に500万円を確保できます。

例2:退職金の一部を年金代わりに分割償還へ
異なる満期(5年後、10年後、15年後など)のストリップ債を組み合わせて定期的にまとまった資金を受け取るポートフォリオ設計が可能です。

■ ストリップ債の注意点

利払いがないため途中のキャッシュフローがない
→現金が必要な時に向いていない

金利上昇局面では価格下落リスクが大きい
→ゼロクーポンゆえデュレーション(価格感応度)が高い

まとめ:ストリップ債は目的に応じて賢く使いたい債券

利付債の「定期収入」に対して、ストリップ債は「満期一括のキャピタルゲイン」を狙う商品です。将来の資金計画や複利運用重視の投資家にとっては有力な選択肢となります。ただし、金利変動リスクやキャッシュフロー不足には十分注意して、自身のライフプランに合った形で活用することが重要です。

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