テクニカル分析の世界では、チャートパターンの「三尊（ヘッドアンドショルダー）」は重要な転換サインの一つとして広く認識されています。一方で、このパターンが成立せず、価格が反発する現象を「三尊拒否（さんぞんきょひ）」と呼びます。本記事では、三尊拒否の意味や実例、投資判断への活用方法について詳しく解説します。
三尊とは？まずは基本形を押さえよう
三尊（ヘッドアンドショルダー）とは、チャート上に左肩・頭・右肩の3つの山が形成され、右肩の後にネックライン（支持線）を割ることでトレンド転換（天井形成）を示すパターンです。
この形が完成すると、株価が下落トレンドに入ると考えられ、多くの投資家が売りのタイミングを探るシグナルとしています。
「三尊拒否」とは何か？
三尊拒否とは、三尊パターンが完成しそうになったものの、ネックラインを割らずに反発して再上昇に転じた状態を指します。
これは本来の下落トレンド転換が否定されたことを意味し、買い戻しや踏み上げによって急騰するケースも多く、重要な反発サインと見なされることがあります。
三尊拒否のチャート事例
たとえば、ある銘柄で下記のような動きがあったとします。
- 左肩：1,500円付近
- 頭：1,600円
- 右肩：1,500円
- ネックライン：1,450円
このような形が描かれ、ネックラインを試しにいったときに1,450円を割らずに反発し、1,600円を上抜けて1,700円まで上昇したとすると、それが「三尊拒否」です。
このような動きは「売り方の敗北」と見なされ、強気のトレンド継続サインになることもあります。
三尊拒否に基づくトレード戦略
三尊拒否を活かすには、以下のような戦略が考えられます。
- ネックライン付近で反発を確認後、逆張りでロングエントリー
- 三尊否定の明確なサイン（高値更新など）でトレンド追随
- ショートポジションを持っていた場合は、即座に損切りしてドテン買い
ただし、騙し（フェイクアウト）もあるため、ローソク足や出来高、他の指標と合わせて慎重に判断しましょう。
三尊拒否と似たチャートパターン
三尊拒否と似たパターンに「ダブルトップ否定」や「ブレイクアウトフェイク」などもあります。
これらはいずれも「多くの投資家が想定していた展開を裏切る動き」であるため、価格が一気に動きやすいタイミングでもあります。トレンドの初動を捉えるヒントとして、拒否パターンを見逃さない目を養うことが重要です。
まとめ：三尊拒否は反発サインとして注目
「三尊拒否」は、トレンド転換を示すパターンが否定され、逆方向へ大きく動くことを示唆するテクニカルシグナルです。
単なるチャートの形状だけでなく、市場心理や出来高など複合的に判断することで、トレードの精度が向上します。特に短期トレーダーにとっては、「転換の否定」が新たなチャンスの始まりになる可能性があることを覚えておきましょう。
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