なぜ生産者余剰は「総収入-可変費用」で表せるのか?経済学の基礎をわかりやすく解説

株式

経済学の基礎概念である「生産者余剰」は、市場分析や厚生経済学の分野で頻繁に登場します。しかし「生産者余剰 = 総収入 (TR) – 可変費用 (VC)」と書かれていると、なぜ固定費が含まれないのか、なぜ可変費用だけを差し引くのか疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、この関係式の意味と直感的な理解方法を解説していきます。

生産者余剰とは何か?

生産者余剰とは、生産者が市場で財やサービスを販売したときに得られる「利益に近い概念」です。厳密には、供給曲線と市場価格との間にできる面積を指します。これは、生産者が受け取る収入から、追加的に生産するために必要な費用(限界費用)を差し引いたものと一致します。

例えば、ある商品を市場価格100円で売ったとき、追加で1個作るために必要な費用(限界費用)が70円なら、その差額30円が生産者余剰になります。

なぜ可変費用だけを引くのか?

生産者余剰の計算式では、総収入(TR)から可変費用(VC)を引いています。ここで重要なのは固定費用(FC)は考慮しないという点です。固定費用とは、生産量にかかわらず必ずかかる費用(工場の建設費や機械の減価償却など)のことです。

生産者余剰は「市場取引から得られる純粋な余剰利益」を示す概念なので、固定費は含めず、あくまで生産量に応じて変動する費用(可変費用)だけを差し引くのです。

グラフで見る直感的理解

供給曲線は通常、限界費用曲線と一致します。市場価格がPのとき、生産量Qまでの限界費用を積み上げた面積が可変費用(VC)です。一方、総収入(TR)は「価格×数量」で表される長方形の面積です。

この二つの面積の差が「生産者余剰」として表され、市場価格が高いほど、その差が大きくなります。つまり、市場価格が上昇すれば、生産者はより多くの余剰を得られるのです。

実例:農家のケース

例えば、ある農家がトマトを100個生産して市場で1個200円で売ると、総収入は20,000円です。もしその100個を作るための種や肥料、人件費などの可変費用が12,000円なら、生産者余剰は次のようになります。

生産者余剰 = 20,000円 – 12,000円 = 8,000円

この8,000円は、農家が固定費用を支払う前に得られる「市場取引による余剰利益」を意味します。

消費者余剰との関係

生産者余剰と対になる概念が「消費者余剰」です。消費者余剰は「支払ってもよいと思う価格」と「実際に支払った価格」の差を表します。これに対して生産者余剰は「受け取った収入」と「生産に必要な可変費用」の差であり、両者を合わせると「社会的余剰」となります。

この社会的余剰の最大化こそ、市場メカニズムや経済政策の大きな目標とされます。

まとめ

生産者余剰が「総収入(TR) – 可変費用(VC)」で表されるのは、可変費用こそが生産に伴う追加的なコストだからです。固定費用は生産量に関わらず発生するため、生産者余剰の計算には含めません。結果として、生産者余剰は「市場での収入から生産活動に必要な変動的コストを引いたもの」として、経済学で重要な役割を果たしています。

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