令和の米騒動とコメ価格高騰の背景:政治と農政の影響

経済、景気

2024年夏から始まった「令和の米騒動」は、主食である米の価格高騰が家計に深刻な影響を与え、政治的な議論を巻き起こしました。特に、自民党政権の政策が価格上昇にどのように関与しているのか、そしてその背景にはどのような構造的な問題があるのかを探ります。

米価格高騰の背景と政府の対応

2024年8月、政府は米の安定供給をテーマとする関係閣僚会議を開催し、石破茂首相は従来の米政策の方向を大きく転換する発言を行いました。具体的には、「米を作るな」ではなく、生産性向上に取り組む農業者が増産に前向きに取り組める支援に転換する方針を示しました。これは歴代政権においても珍しい、明確な増産支援方針であり、政策転換を象徴する出来事として注目されました。

需給見通しの誤りと価格高騰の背景

長年にわたって続いた減反政策により、水田面積・米生産量は大幅に縮小しました。2018年に減反政策が形式的に廃止された後も、政府による「適正生産量」の提示と転作補助は継続され、供給体制が脆弱化しました。2023年の記録的猛暑は、高温に弱いコシヒカリなどに収量減と品質低下をもたらし、一等米比率の低下という形で供給に深刻な打撃を与えました。

備蓄米放出の効果とその限界

需給逼迫を受け、政府は2025年2月から備蓄米の市場放出に踏み切りました。年初に96万トンあった在庫は、わずか半年余りで15万トンまで減少しました。しかし、残る備蓄米の多くは令和2年産であり、本来であれば飼料用への転用が進む時期に差し掛かっているため、販売期限を延長する対応はとられたものの、品質や量の面から長期的な市場安定効果は限定的でした。

新米価格の展望と今後の課題

2025年産の銘柄米は年間を通じて3,300~4,000円台で推移しました。しかし、2025年産米については、各都道府県のJAが提示した概算金(農家への仮払い価格)が前年より6~7割高く設定されており、これを精米5kg当たりに換算すると1,000円前後の値上がりに相当します。この動向から逆算すると、2025年産の小売価格は4,300~5,000円台が基準となり、不作ならさらに一段高に振れるリスクが高いと予想されています。

まとめ:価格高騰の構造的要因と政策転換の必要性

米価格高騰の背景には、減反政策による供給体制の脆弱化、気候変動による収量減少、そして市場の価格形成の不透明さなど、複合的な要因が絡んでいます。政府は増産支援に転換する方針を示しましたが、実効性のある政策が求められています。消費者・生産者が納得できる価格を実現するためには、政府の市場介入がより踏み込んだ形で必要であると指摘されています。

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