NISA(少額投資非課税制度)が広く推奨されるようになり、「なぜ政府は投資をすすめるのか」「本当に国民のための制度なのか」と疑問を持つ人も増えています。
特に、NISAで資産形成をした後に亡くなった場合、相続税によって政府が利益を得る仕組みなのではないかという見方もあります。この記事では、NISAが作られた目的や税制上の仕組み、相続税との関係について整理して解説します。
NISAはなぜ政府がすすめている制度なのか
NISAは、個人が投資によって資産形成をしやすくするために作られた制度です。通常、株式や投資信託などで得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内で得た利益は非課税になります。
政府がNISAを推進する大きな理由の一つは、国民の資産形成を後押しするためです。日本では長期間、預貯金を中心に資産を保有する人が多く、物価上昇や老後資金への不安に備える手段として投資の活用が注目されました。
例えば、銀行預金だけでは大きく増えにくい資産を、長期的な投資によって成長する企業や経済活動に回すことで、個人の資産形成と経済成長の両方を目指すという考え方があります。
NISAは政府にとって税収減になる制度でもある
NISAの特徴は、投資による利益に税金がかからないことです。これは投資家にとって大きなメリットですが、国から見ると本来得られるはずだった税収を減らす仕組みでもあります。
例えば、通常の投資口座で100万円の利益が出た場合、その利益には税金がかかります。しかし、NISA口座で得た利益には税金がかかりません。
そのため、単純に考えると「政府が税金を集めるための制度」というより、むしろ一定の税収を手放してでも国民に投資を促す制度と考えることができます。
NISAで増やした資産は相続税の対象になるのか
NISA口座で保有している資産は、本人が亡くなった場合でも財産として扱われます。つまり、NISAだから相続税が完全になくなるわけではありません。
例えば、NISA口座で1000万円分の投資商品を保有している人が亡くなった場合、その資産は相続財産として扱われ、他の財産と合わせて相続税の計算対象になる可能性があります。
ただし、これはNISAだけに特別な仕組みがあるわけではありません。預金、不動産、株式など、多くの財産は相続時に一定の条件で相続税の対象になります。
「NISAは相続税を集めるための制度」という考え方について
NISAによって資産が増え、その後相続が発生すれば、結果的に相続税の対象となる財産が増える可能性はあります。
しかし、NISA制度そのものが相続税収を増やす目的で作られたという説明は一般的な制度目的とは異なります。NISAはあくまで投資による利益への税制優遇を行い、個人の資産形成を支援することが主な目的です。
また、相続税には基礎控除があり、すべての相続で税金が発生するわけではありません。財産額や相続人の人数によって課税されるかどうかは変わります。
政府が投資を促す背景には日本の社会環境もある
NISAが拡充された背景には、少子高齢化や社会保障費の増加など、日本社会の変化があります。
以前は、老後の生活を公的年金や退職金だけで支える考え方が一般的でした。しかし、平均寿命が伸び、老後期間が長くなる中で、自分自身でも資産形成を行う必要性が高まっています。
政府としては、国民が長期的に資産を準備できる環境を整えることで、将来的な生活不安の軽減につなげたいという狙いがあります。
NISAを利用するときに注意したいポイント
NISAは税金面で有利な制度ですが、投資である以上、必ず利益が出るわけではありません。
例えば、株式や投資信託の価格が下落すれば、元本割れする可能性もあります。そのため、生活費や近いうちに使う予定のお金まで投資に回すのではなく、余裕資金で長期的に運用することが大切です。
NISAは「政府がすすめているから必ず儲かる制度」ではなく、税制上のメリットを活用しながら、自分の判断で資産形成を行うための制度と考えることが重要です。
まとめ
NISAが政府によってすすめられている理由は、国民の資産形成を支援し、投資を通じて経済を活性化させる目的があるためです。
NISAで築いた資産は、本人が亡くなった場合には相続財産として扱われる可能性がありますが、それはNISAに限った仕組みではありません。
「将来の相続税収を増やすための制度」というより、税収を一部減らしてでも国民が自分で資産を準備しやすくするための制度と理解する方が、制度の目的に近いといえます。
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