FXだけで10年生活できたら人間国宝?「人間国宝」の本当の意味と投資家が対象にならない理由

外国為替、FX

FX(外国為替証拠金取引)の利益だけで長期間生活を続けられる人がいれば、投資に詳しくない人から見ると「ものすごい才能の持ち主」「人間国宝レベルでは?」と感じるかもしれません。特に10年間のような長期間にわたり相場と向き合い、生活費を得てきたのであれば、簡単なことではないでしょう。

しかし、日本で一般に「人間国宝」と呼ばれる制度は、単に特定分野で非常に優秀な人を表彰する制度ではありません。対象となる分野や認定の目的が法律上定められているため、FXでどれほど優れた成績を残したとしても、それ自体を理由として人間国宝になる仕組みにはなっていません。

ここでは、人間国宝とはそもそも何なのか、どのような人が認定されるのか、そしてFXで長期間生活できることとは何が違うのかを分かりやすく整理します。

そもそも「人間国宝」とは何なのか

「人間国宝」は法律上の正式な名称ではなく、文化財保護法に基づく重要無形文化財の保持者として認定された人を一般的に呼ぶ言葉です。文化庁では、重要無形文化財について、演劇・音楽・工芸技術などの無形の文化的所産のうち、歴史上または芸術上価値の高いものを国が指定する制度として説明しています。

つまり、人間国宝は「日本で特に能力の高い人ランキング」のような制度ではありません。日本にとって重要な伝統芸能や工芸技術などを守り、後世へ伝えるための文化財保護制度の一部です。

たとえば伝統的な芸能や陶芸、染織、漆芸など、長年受け継がれてきた高度な技術を体得し、その技を保存・継承するうえで重要な人物が対象となります。単純に収入が多い、珍しい職業を長期間続けた、競技で優秀な成績を残した、といった理由だけで認定されるものではありません。

FXトレーダーは人間国宝の対象になる?

FXは通貨の価格変動を利用して利益を狙う金融取引です。分析力や資金管理能力、リスク管理、精神面のコントロールなどが結果に影響する世界ですが、現在の重要無形文化財制度における芸能や工芸技術とは性質が異なります。

そのため、FXの利益だけで10年、20年と生活できたとしても、その実績だけを理由として人間国宝に認定されることはありません。仮に驚異的な投資成績を残したとしても同様です。

これはFXだけに限りません。株式投資で巨額の資産を築いた投資家、非常に優秀な会社経営者、営業成績トップの会社員なども、その実績だけで人間国宝になるわけではありません。「人間国宝」という言葉が日常会話では「その道の達人」という意味で冗談交じりに使われるため、制度上の意味との違いが分かりにくくなっているのです。

人間国宝は「すごい人なら誰でもなれる制度」ではない

人間国宝を理解するときに重要なのが、評価されるのは単純な能力の高さだけではないという点です。重要無形文化財制度の目的には、文化的価値を持つ「わざ」を保存するという考え方があります。

たとえば、ある人が世界でもトップクラスのプログラミング技術を持っていたとしても、それだけで人間国宝になるわけではありません。同様に、将棋、スポーツ、ゲーム、投資などで極めて優秀な成績を残したからといって、自動的に人間国宝の候補になる制度でもありません。

「その分野でどれほどすごいか」と「重要無形文化財の保持者として認定されるか」は別の話として考える必要があります。

ではFXだけで10年間生活できるのはすごいことなのか

人間国宝になるかどうかとは別に、FXによる収益だけで10年間生活できたという事実があるなら、少なくとも長期間にわたって取引を継続できたことになります。ただし、それだけを聞いて投資能力を正確に評価することもできません。

たとえば「FXだけで10年間生活した」という人でも、元手が300万円だった人と3億円だった人では条件がまったく違います。年間300万円の生活費を得る場合でも、元本に対してどれだけの収益を上げたのかによって評価は変わります。

さらに、10年間の累計損益、最大損失、投入した元本、途中で追加した資金、税引き後の利益なども確認しなければ、本当の運用成績は分かりません。「10年間退場しなかった」という情報だけと「10年間安定して高い収益率を維持した」という情報は同じではありません。

FXでは「何年続いたか」だけでなくリスクも見る

FXでは証拠金を使った取引が可能であり、レバレッジによって元手以上の金額を取引できます。利益を大きくできる可能性がある一方、予想と反対方向へ相場が動けば損失も大きくなる可能性があります。

金融庁もFXについて、少額の証拠金で大きな金額の取引を行うことから、多額の損失が生じる可能性があるとして注意を促しています。FXを「長期間勝っている人がいるから簡単に稼げる方法」と考えるのは適切ではありません。

特にSNSでは、利益を出した取引だけを公開することもできます。誰かの投資実績を参考にするときは、利益額だけでなく損失や取引期間、元本なども含めて判断することが大切です。

「人間国宝級のFXトレーダー」は比喩なら使える

日常会話では「人間国宝」という言葉が、本来の制度とは関係なく「とてつもなくすごい人」という意味の比喩として使われることがあります。

たとえば、知人がFXだけで10年以上安定して生活していると聞いて「もう人間国宝じゃん」と冗談で表現すること自体は、一般的な会話として意味は通じるでしょう。ただし、それはあくまで「ものすごい」という意味の比喩です。

正式な意味での人間国宝とはまったく異なるため、ニュース記事や解説記事など正確性が求められる場面では、「重要無形文化財の保持者」と「非常に優れた技能を持つ人」という意味を混同しないことが重要です。

FXで成功しても別の国家表彰を受ける可能性はある?

人間国宝になれないことと、金融や経済の分野で活躍した人物が国から一切評価されないことは別問題です。日本には文化財保護制度以外にも、勲章や褒章などさまざまな顕彰制度があります。

ただし、こちらも「FXで10年間生活できたら受章できる」というものではありません。社会への長年の貢献や公共への功績など、それぞれの制度に応じた評価が行われます。

個人で自分の資金を運用して利益を上げ続けたという事実と、社会・公共への功績として国が顕彰することは区別して考えた方が分かりやすいでしょう。

人間国宝と「その道の達人」の違いを整理

ケース 人間国宝になる理由になるか
FXだけで10年間生活した それ自体は対象にならない
株式投資で巨額の利益を得た それ自体は対象にならない
会社経営で大成功した それ自体は対象にならない
スポーツで非常に優秀な成績を残した それ自体は人間国宝の認定理由ではない
重要無形文化財に指定された芸能・工芸技術を高度に体得している 制度上、保持者認定の対象となり得る

この違いを理解すると、「ものすごく優秀なのになぜ人間国宝にならないのか」という疑問も解消しやすくなります。

まとめ|FXで10年生活しても人間国宝にはならない

人間国宝とは、単純に「その道ですごい人物」に与えられる称号ではありません。文化財保護法に基づいて重要無形文化財の「わざ」を高度に体得した保持者として認定された人物を指す通称です。

したがって、FXだけで10年間生活できたとしても、それを理由として人間国宝に指定される制度はありません。20年、30年とFXを続けても基本的な考え方は同じです。

もっとも、「10年間FXで生活できるなんて人間国宝級だ」という表現なら、驚きを表すジョークとしては成立します。本物の人間国宝と「人間国宝級にすごい」という日常表現は、似ているようでまったく別物です。

外国為替、FX
最後までご覧頂きありがとうございました!もしよろしければシェアして頂けると幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました!もしよろしければシェアして頂けると幸いです。
riekiをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました