第一次トランプ政権でS&P500はどれくらい上昇した?2017〜2021年の株価推移と4年間を検証

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米国株を振り返る際、2017年から2021年までの第一次トランプ政権は非常に興味深い期間です。米中貿易摩擦や利上げ、新型コロナウイルスによる歴史的な株価急落など、大きな材料が相次いだため、S&P500があまり上昇しなかった時代という印象を持つ人もいるかもしれません。

しかし実際の指数を見ると、そのイメージとはかなり異なります。S&P500はトランプ氏が大統領に就任した2017年1月20日の約2,271ポイントから、任期最終日の2021年1月20日には約3,852ポイントとなりました。単純比較では約69.6%の上昇です。

この記事では、第一次トランプ政権中のS&P500を年ごとに整理しながら、なぜ上昇したのか、途中でどのような下落があったのか、さらに「トランプ政権だったから上がった」と単純に結論づけられない理由まで解説します。

第一次トランプ政権のS&P500は「あまり上がらなかった」とはいえない

ドナルド・トランプ氏の第1次政権は2017年1月20日に始まり、2021年1月20日に終了しました。S&P500の終値は2017年1月20日の2,271.31から2021年1月20日の3,851.85へ上昇しています。

この2つの数値を単純比較すると、上昇率は約69.6%です。2,271.31で始まったものが約4年間で3,851.85になったため、株価指数だけを見るなら、第一次トランプ政権はS&P500が大幅に上昇した期間と表現する方が実態に近いでしょう。

なお、これは配当を含めない価格指数の比較です。S&P500構成企業から受け取る配当とその再投資まで考慮するトータルリターンでは数字が異なるため、投資成果を比較するときには「価格指数なのか、配当込みなのか」を区別する必要があります。

2017年から2020年までの年間騰落率を見る

S&P500の暦年ベースの動きを見ると、第一次トランプ政権の特徴がさらに分かりやすくなります。S&P Dow Jones Indicesの資料によると、S&P500の価格リターンは2017年が19.42%、2018年がマイナス6.24%、2019年が28.88%、2020年が16.26%でした。[参照:S&P Dow Jones Indices]

S&P500価格リターン 主な出来事
2017年 +19.42% 減税・規制緩和への期待、世界景気の拡大
2018年 -6.24% 米中貿易摩擦、FRBの利上げなど
2019年 +28.88% 金融政策の転換、貿易摩擦緩和への期待など
2020年 +16.26% コロナショック後の急回復

4年間すべて上昇したわけではありません。特に2018年は年間ではマイナスとなりました。一方で2017年、2019年、2020年はいずれも二桁上昇しており、2019年は約29%という非常に大きな上昇でした。

就任日から退任日まででは約70%上昇した

大統領の任期と株価を比較する場合、「選挙日」「就任日」「年初」「退任日」のどこを起点とするかによって数字が変わります。そのため、大統領在任中のパフォーマンスを論じるなら比較期間を明示することが大切です。

就任日の2017年1月20日を起点にすると、S&P500は2,271.31でした。退任日の2021年1月20日には3,851.85となっています。

計算すると、(3,851.85÷2,271.31-1)×100≒69.6%です。したがって、「第一次トランプ政権ではS&P500がほとんど上がらなかった」という認識は、少なくともこの期間の指数実績とは一致しません。

それでも「あまり上がっていない」印象を持ちやすい理由

理由の一つは、第一次トランプ政権中に何度も大きな下落局面があったことです。特に2018年後半には株価が大きく下落し、年間のS&P500もマイナスで終了しました。

さらに強烈だったのが2020年のコロナショックです。S&P500は2020年2月19日に3,386.15を付けた後、3月23日には2,237.40まで下落しました。わずか1カ月余りで約34%下落した計算になります。

ところが、その後の回復も非常に速く、S&P500は2020年を3,756.07で終えました。つまり、途中経過だけを見ると極めて不安定だった一方、最終的な指数水準を見ると大幅上昇していたという期間だったのです。

2017年に株価が上昇した背景

トランプ政権発足当初は、法人税率引き下げを含む税制改革や規制緩和など、企業利益にプラスになる政策への期待が株式市場にありました。2017年12月にはTax Cuts and Jobs Actが成立し、米国の連邦法人税率は35%から21%へ引き下げられました。[参照:米国議会]

法人税率が下がれば、ほかの条件が同じなら企業の税引き後利益を押し上げる要因になります。株価は企業の将来利益に対する期待を織り込むため、税制改革への期待は当時の株式市場を考えるうえで重要な要素でした。

ただし、2017年の株高をトランプ政権の政策だけで説明するのも適切ではありません。当時は世界経済の拡大や企業業績など複数の要因が重なっていました。

2018年には米中貿易摩擦と金融政策が重荷になった

第一次トランプ政権を象徴する経済政策の一つが、中国との貿易摩擦です。米国は中国製品への追加関税を導入し、中国も報復関税を実施しました。

関税は米国内の特定産業を保護する側面がある一方、輸入コストの増加やサプライチェーンへの影響、相手国による報復などを通じて企業活動の不確実性を高める場合があります。そのため、米中関係のニュースによって株価が大きく動く場面がありました。

さらに当時はFRBによる金融引き締めも市場の重要テーマでした。政治だけでなく、金利や金融政策も株価を左右していた点を忘れることはできません。

2020年のコロナショックでは暴落後に急回復した

第一次トランプ政権の株価を評価するとき、2020年は特に注意が必要です。新型コロナウイルスの世界的流行によって経済活動が急停止し、米国株も歴史的な速度で暴落しました。

しかしFRBは2020年3月、政策金利を事実上のゼロ金利へ引き下げるなど大規模な金融緩和策を実施しました。[参照:Federal Reserve]

米国政府による大規模な財政支援も実施され、株式市場は実体経済に先行する形で急速に回復しました。その結果、あれほど大きな暴落があったにもかかわらず、S&P500の2020年価格リターンは年間で16.26%のプラスとなりました。

「トランプ大統領だったから70%上がった」とも断定できない

ここは株価を政治と結び付けて考える際に重要なポイントです。第一次トランプ政権中にS&P500が約70%上昇したことと、約70%の上昇がすべてトランプ氏の政策によって生じたという主張は別物です。

株価は、大統領の政策だけではなく、企業利益、景気、インフレ、FRBの金融政策、長期金利、技術革新、海外経済、投資家心理など多数の要因によって動きます。2020年の急回復ひとつを見ても、FRBの金融政策や議会が成立させた経済対策などを無視することはできません。

反対に、政権中に株価が下落した局面をすべて大統領の責任と考えるのも同じ問題があります。株価の事実を確認したうえで、その原因については複数の要因を分けて考える必要があります。

大統領別の株価比較で気を付けたいポイント

「どの大統領のときに株価が上がったか」という比較は分かりやすい一方、投資判断にそのまま利用するのは注意が必要です。大統領が就任した時点で、前政権から続く景気循環や金融政策、企業業績などを引き継いでいるためです。

また、株価のスタート地点も重要です。景気後退によって株価が割安になった直後に就任した大統領と、長期間の株高によってバリュエーションが高くなった時点で就任した大統領では、単純な上昇率比較だけでは条件が異なります。

大統領別の市場成績を見る場合は、「誰が大統領だったか」だけではなく、「就任時の景気・金利・企業利益・株価水準はどうだったか」まで確認すると、より実態に近い分析になります。

第一次政権の実績を第二次トランプ政権の予想にそのまま使える?

第一次トランプ政権でS&P500が大きく上昇したからといって、その実績だけを根拠に別の任期でも同じ値動きになるとは限りません。株式市場を取り巻く条件は毎回異なるからです。

例えば、政策金利やインフレ率、株価収益率、企業利益の成長率、財政赤字、関税政策、世界経済の状況などが違えば、同じ政策でも市場への影響は変わります。

過去の値動きは参考資料として有用ですが、将来のリターンを保証するものではありません。特定の政治家への評価と投資判断をいったん切り離し、現在の企業業績や金利、株価水準を確認することが重要です。

まとめ|第一次トランプ政権のS&P500は約4年間で大幅に上昇した

第一次トランプ政権について「S&P500はあまり上がらなかった」と考えるのは、実際の指数推移とはやや異なります。就任日の2017年1月20日の2,271.31から退任日の2021年1月20日の3,851.85までで比較すると、S&P500は約69.6%上昇しました。

暦年では2017年が+19.42%、2018年が-6.24%、2019年が+28.88%、2020年が+16.26%でした。途中には米中貿易摩擦や2018年の株安、2020年のコロナショックという大きな下落局面もあったため、値動きの激しい4年間でもありました。

したがって、第一次トランプ政権のS&P500を振り返るなら、「途中で何度も大きな下落はあったものの、任期全体では大幅に上昇した」という整理が分かりやすいでしょう。ただし、その上昇を大統領一人の功績とみなすのではなく、企業業績、FRBの金融政策、景気、税制、コロナ対策など複数の要因を合わせて評価することが大切です。

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