フィンテック グローバル(証券コード:8789)の株価が2026年8月26日に175円前後まで上昇し、「1株200円以下なら割安なのでは」「新NISAで買っておく価値があるのでは」と気になっている人もいるでしょう。実際、同社は2026年9月期第3四半期まで大幅な増収増益となっており、業績面では注目できる材料があります。
ただし、株価が175円というだけでは、その株がお買い得かどうかは判断できません。株価の数字そのものではなく、発行済株式数を含めた企業価値、利益、純資産、今後の成長性、そして現在の株価にどこまで好材料が織り込まれているかを見る必要があります。
特に新NISAは非課税で長期保有できる制度なので、「株価が安いから」という理由だけで銘柄を選ぶのではなく、数年後も利益を生み出せる企業なのかという視点が重要です。ここでは、フィンテック グローバルの直近業績と株価水準を確認しながら、175円という株価をどのように評価すればよいのかを初心者向けに解説します。
フィンテック グローバル(8789)はどんな会社?
フィンテック グローバルは東証スタンダード市場に上場する企業で、証券コードは8789です。「フィンテック」という社名からIT系の金融サービス企業をイメージするかもしれませんが、実際の事業を見る際には社名だけで判断しないことが大切です。
同社の収益の柱となっているのは投資銀行事業です。近年は事業承継案件へのプライベートエクイティ(PE)投資、トラックのオペレーティングリースに関するアレンジメントやファンド管理などが業績に貢献しています。また、埼玉県飯能市の「メッツァ」に関連する事業にも関わっています。
2026年9月期第3四半期では、事業承継案件へのPE投資やトラックオペレーティングリース関連の収益、航空機リース資産の売却などが業績を押し上げました。したがってフィンテック グローバルを分析する際には、一般的なIT企業を見る感覚ではなく、投資銀行・ファンド・リース・不動産など複数の事業から利益を生み出す会社として見る必要があります。
2026年8月26日の175円はどのような株価水準なのか
2026年8月26日のフィンテック グローバル株は175円前後まで上昇しています。一方、直近では8月21日に175円の年初来高値を付けており、8月24日の終値は171円でした。つまり175円は、少なくとも2026年の値動きの中では「安値圏」ではなく、年初来高値付近の水準です。
年初来安値は2026年3月31日の118円でした。118円から175円まで上昇したとすると、上昇幅は57円で、率にすると約48%です。単純に株価だけを見れば「175円だから安い」と感じやすいものの、数カ月前と比較するとすでにかなり上昇しています。
さらに8月上旬からの値動きを見ると、8月3日は131円、8月12日は138円、8月17日は162円、8月21日には173円で取引を終えています。短期間で株価水準が切り上がっているため、現在の株価には直近の好業績などへの期待がある程度反映されている可能性を考える必要があります。
[参照] Yahoo!ファイナンス「フィンテック グローバル(8789)株価時系列」
「175円だから安い」は株式投資では間違いやすい考え方
株式投資を始めたばかりの人が特に注意したいのが、1株あたりの株価だけで企業の割安・割高を判断することです。100円台の株だから割安、1万円の株だから割高という関係にはなりません。
極端な例として、A社の株価が100円で発行済株式数が10億株なら、単純計算した時価総額は1,000億円です。一方、B社の株価が5,000円でも発行済株式数が1,000万株なら時価総額は500億円です。この場合、株価だけならB社はA社の50倍ですが、会社全体の市場価値はB社のほうが小さくなります。
したがって、フィンテック グローバルが175円だから「安い会社」とは判断できません。利益に対して株価がどの程度なのかを示すPER、純資産に対する株価を示すPBR、時価総額、利益成長率、配当などを組み合わせて評価することが基本になります。
さらに重要なのは将来の利益です。現在の利益が非常に大きくても、それが一時的な利益で翌年に減少するなら、現在のPERだけを見て割安と判断することはできません。反対に現在の利益が小さくても、今後継続的に成長する企業なら高い評価を受けることがあります。
フィンテック グローバルの直近業績は好調
フィンテック グローバルを検討するうえでプラス材料として確認しておきたいのが、2026年8月12日に発表された2026年9月期第3四半期決算です。第3四半期累計の売上高は129億4,800万円となり、前年同期比25.0%増加しました。
利益の伸びはさらに大きく、営業利益は40億7,600万円で前年同期比42.4%増、経常利益は38億7,100万円で38.9%増となっています。親会社株主に帰属する四半期純利益は44億3,700万円で、前年同期比177.7%増となりました。
| 2026年9月期3Q累計 | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 129億4,800万円 | +25.0% |
| 営業利益 | 40億7,600万円 | +42.4% |
| 経常利益 | 38億7,100万円 | +38.9% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 44億3,700万円 | +177.7% |
数字だけを見ると非常に好調な決算です。特に投資銀行事業では、事業承継案件へのPE投資やトラックオペレーティングリース関連などが業績を牽引しています。
[参照] Yahoo!ファイナンス「フィンテック グローバル(8789)決算情報」
利益が大きく増えている理由も確認しておきたい
決算では「利益が177.7%増えた」という数字だけを見るのではなく、その利益がどのように生まれたのかまで確認することが重要です。フィンテック グローバルの2026年9月期第3四半期累計の最終利益には、ムーミン物語株式の一部譲渡に関連する特別利益15億5,600万円と特別損失4億6,300万円が含まれています。
つまり、最終利益44億3,700万円のすべてが毎年同じように発生する本業の利益というわけではありません。このような一時的な損益を含む企業を評価するときには、最終利益だけでなく営業利益や経常利益も合わせて確認する必要があります。
もっとも、営業利益も前年同期比42.4%増、経常利益も38.9%増となっているため、単に特別利益だけで好決算になったわけではありません。投資銀行事業そのものも伸びている点は重要です。
一方、PE投資による利益や資産売却などは、一般的な月額課金サービスのように毎期ほぼ一定額が発生する収益とは性質が異なります。今期の高い利益水準が翌期以降も継続できるかどうかは、今後の案件獲得や投資回収の状況まで追う必要があります。
通期予想に対する進捗率が高い点にも注目
2026年9月期の会社予想に対する第3四半期時点の進捗率も高い水準です。売上高は通期予想155億円に対して129億4,800万円まで進み、約83.5%となっています。
営業利益は通期予想42億円に対して40億7,600万円で約97.1%、経常利益は通期予想40億円に対して38億7,100万円で約96.8%です。第3四半期終了時点ですでに通期計画へかなり近づいています。
こうした高い進捗率は業績を見るうえで注目材料になります。ただし、進捗率が高い=必ず上方修正される、あるいは株価が上昇するという意味ではありません。会社の収益が特定の四半期に偏りやすい場合もあるほか、市場参加者がすでに好業績を予想して株を買っていれば、良い数字が株価へ織り込み済みになっていることもあります。
実際に株価は8月上旬の130円台から170円台まで上昇しています。決算内容と同時に「その材料を受けて株価がすでにどれほど上昇したのか」を見ることも大切です。
自己株式取得は株価にとって注目材料
フィンテック グローバルは2026年8月12日の第3四半期決算発表と同時に、自己株式取得に関する決定も開示しています。自社株買いは、市場に流通する株式数を減らす方向に働くため、一般的には1株あたりの価値や需給の面から株主還元策として注目されます。
ただし、「自社株買いを発表したから必ず株価が上がる」というものではありません。取得予定額、取得株数、実際の取得状況、業績、市場環境などによって株価への影響は変わります。
そして、決算発表後に株価が上昇している場合には、自社株買いを含む好材料がすでに株価へ反映されている可能性も考える必要があります。投資判断ではニュースそのものだけでなく、ニュース発表前後の株価変化まで確認すると状況を理解しやすくなります。
新NISAで買うなら「安い株価」より長期保有できるかを考える
フィンテック グローバルはSBI証券の銘柄情報でもNISA対象として表示されています。しかし、NISAで購入できることと、NISAで長期保有するのに適した銘柄であることは別問題です。
新NISAでは売却益や配当・分配金を非課税にできるメリットがあります。そのメリットを生かすのであれば、「175円なら100株買っても1万7,500円だから安い」という購入金額だけではなく、数年間保有する前提でも事業の成長を期待できるかを考えることが重要です。
たとえば100株を175円で購入する場合、必要な資金は手数料等を考慮しなければ1万7,500円です。株価が200円になれば評価額は2万円となり2,500円の含み益ですが、120円まで下落すれば評価額は1万2,000円となり5,500円の含み損になります。株価が低くても下落率そのものが小さくなるわけではありません。
特に個別株をNISAで購入する場合は、一つの銘柄だけに資金を集中させないことも重要です。業績が好調でも、将来の事業環境や市場全体の下落によって株価が大きく変動する可能性があります。
175円がお買い得か判断するときのチェックポイント
フィンテック グローバルを175円前後で検討するなら、「安い・高い」を一つの指標で決めるのではなく、複数の材料を確認すると判断しやすくなります。
- 業績:売上高・営業利益・経常利益が継続的に伸びているか
- 利益の質:一時的な特別利益と本業による利益を分けて考える
- PER・PBR:利益や純資産と比較して現在の株価がどの程度評価されているか
- 株価位置:年初来安値・高値や直近の上昇率を確認する
- 将来性:PE投資、リースなど主力事業の成長が続くか
- 株主還元:配当や自己株式取得の方針を確認する
- リスク:投資案件や資産売却によって年度ごとの利益が変動する可能性を考える
特に今回の175円という水準については、2026年の年初来安値118円と比べると約48%高く、年初来高値圏にあります。一方で、第3四半期までの営業利益・経常利益は大幅増益で、通期計画への進捗も高いという好材料があります。
つまり「175円だからお買い得」とも「高値圏だから割高」とも、株価だけから結論を出すことはできません。好業績が今後も続くと考えるのか、それとも現在の株価には好材料が十分織り込まれていると考えるのかが判断の分かれ目になります。
まとめ:フィンテック グローバル(8789)は175円という数字だけで割安とは判断できない
フィンテック グローバル(8789)は、2026年9月期第3四半期まで売上高129億4,800万円、営業利益40億7,600万円、経常利益38億7,100万円となり、それぞれ前年同期を大きく上回っています。本業の利益が伸びていることや通期計画に対する高い進捗率は、銘柄を分析するうえで注目できるポイントです。
一方、最終利益にはムーミン物語株式の一部譲渡に伴う特別損益が含まれており、今期の利益をそのまま将来の通常利益として考えないことも重要です。また、株価は2026年3月の年初来安値118円から大きく上昇し、175円は年初来高値圏となっています。
したがって、1株175円という価格の低さだけを理由に「お買い得」と判断するのは適切ではありません。PERやPBRなどの株価指標、営業利益の成長、利益の持続性、今後の事業見通し、株価に好材料がどこまで織り込まれているかを合わせて判断する必要があります。
新NISAで個別株を購入するときも同様です。購入金額が少ないことと投資リスクが低いことは同じではありません。長期間保有してもよいと思える事業内容なのか、業績が悪化した場合にも保有を続けられるのかまで考えたうえで投資判断を行うことが、新NISAで個別株投資をする際の重要なポイントです。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


コメント