NISAを利用中でもネット証券で株投資はできる?複数の証券口座とNISA口座のルールを解説

資産運用、投資信託、NISA

NISAや銀行で購入した投資信託を保有しながら、別のネット証券で個別株への投資を始めることは可能です。ただし、「証券口座を複数持つこと」と「NISA口座を複数の金融機関で同時に使うこと」は別の話なので、ここを整理しておく必要があります。

通常の証券口座は複数の金融機関で開設できますが、その年にNISAのつみたて投資枠と成長投資枠を利用する金融機関は一つです。したがって、現在のNISAをそのまま継続しながら、ネット証券では特定口座などを使って個別株を購入する方法があります。

一方、今後は個別株もNISAの成長投資枠で買いたいのであれば、NISAを利用する金融機関そのものをネット証券へ変更する選択肢もあります。どちらが適しているかは、現在利用しているNISAの商品と今後購入したい株式を整理して判断すると分かりやすくなります。

NISAを利用中でも別のネット証券口座は開設できる

銀行でNISAや投資信託を利用しているからといって、他の証券会社へ口座を開設できなくなるわけではありません。例えばA銀行で投資信託を保有しながら、Bネット証券に特定口座を開設して日本株を購入するといった使い分けができます。

証券口座にはNISA口座だけでなく、利益に通常の税金がかかる「特定口座」や「一般口座」があります。ネット証券で特定口座を開設すれば、現在保有している銀行の投資信託を必ず売却する必要はなく、新しく用意した資金で個別株投資を始められます。

特定口座のうち「源泉徴収あり」を選択すると、原則として証券会社が口座内の売買損益を計算して税金を源泉徴収する仕組みになっているため、個人投資家に広く利用されています。ただし他口座との損益通算など、状況によって確定申告をしたほうがよい場合もあります。

NISAは複数の金融機関で同時利用できない点に注意

NISAについては通常の証券口座とはルールが異なります。金融庁のNISAガイドブックでは、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で利用することはできず、一つの金融機関で利用すると説明されています。金融機関を年単位で変更することは可能です。[参照:金融庁 NISAガイドブック]

例えば、A銀行のNISAでつみたて投資枠を利用しながら、同じ年にBネット証券のNISA成長投資枠で個別株を買う、という使い分けはできません。

一方、「A銀行=NISA」「Bネット証券=課税口座」という組み合わせなら可能です。この違いを理解しておけば、現在の資産運用を継続しながら個別株へ投資すること自体は難しくありません。

個別株をNISAで買いたいなら金融機関変更も選択肢

NISAの成長投資枠では、一定の条件を満たす上場株式なども投資対象になります。そのため、これから個別株への投資割合を増やしたい場合には、翌年以降のNISAを銀行からネット証券へ変更することも検討できます。

ネット証券は個別株の取扱銘柄や売買機能などが充実している場合があり、株式投資を本格的に行いたい人には使いやすいことがあります。ただしサービス内容、取扱商品、売買手数料などは証券会社によって異なるため比較が必要です。

なお、金融機関を変更したからといって、変更前のNISAで購入した商品を新しい金融機関のNISAへそのまま移管できるわけではありません。金融庁のガイドブックでも、既存の商品を新NISAの投資枠へ移すことはできないと説明されています。現在の商品を慌てて売却せず、変更手続きと既存資産の扱いを確認してから判断することが重要です。

「毎月配当」の投資信託は分配金の中身を確認する

投資信託については、株式の「配当金」と区別して「分配金」と呼ぶのが一般的です。毎月分配金を受け取れる投資信託の場合、受け取っている金額がすべて運用利益とは限らない点には注意が必要です。

金融庁の資料では、投資信託の分配金には投資家にとって利益となる「普通分配金」のほか、元本の払い戻しに相当する「元本払戻金(特別分配金)」があることが説明されています。元本払戻金が支払われると、その分だけ個別元本が減少します。[参照:金融庁 投資信託の分配金とは]

例えば100万円を投資して毎月分配金を受け取っていても、「毎月お金が入ってくる=その金額だけ利益が出ている」とは限りません。新しく個別株投資を始める前に、現在保有している投資信託の運用報告書や取引報告書で、分配金の内訳、基準価額の推移、信託報酬などを確認しておくと資産全体を把握しやすくなります。

NISAと課税口座では税金の扱いも異なる

NISA口座で対象商品から得た利益は制度の範囲内で非課税になります。一方、特定口座や一般口座で株式を売却して利益が出たり、課税対象となる配当を受け取ったりした場合には原則として税金がかかります。

そのため「銀行のNISAは投資信託の長期保有用、ネット証券の特定口座は個別株用」と分けることはできますが、個別株側ではNISAの非課税メリットを利用できません。

また金融庁によると、NISA口座で生じた損失を特定口座や一般口座の配当・売却益と損益通算することはできず、損失の繰越控除もできません。NISAなら何でも税制上有利というより、利益が非課税になる一方で損失の税務上の扱いには制約がある制度として理解しておく必要があります。[参照:金融庁 NISAガイドブック]

個別株を始めるなら資産全体でリスクを考える

投資信託から個別株へ進む場合に注意したいのが集中投資です。幅広い企業へ分散する投資信託と比べ、特定企業の株式はその企業の業績、不祥事、競争環境などの影響を強く受けます。

例えば100万円を数百社へ分散する投資信託と、100万円を一つの企業へ投資する場合では、一社の株価下落が資産全体へ与える影響が大きく異なります。個別株には企業を調べて投資する面白さがありますが、銘柄選択が当たれば必ず投資信託より高い利益になるわけではありません。

最初は現在の投資信託を資産形成の中心として残し、余裕資金の一部を個別株へ振り分ける方法もあります。「投資信託か個別株か」の二者択一ではなく、それぞれの役割を分ける考え方です。

ネット証券を選ぶときに確認したいポイント

ネット証券を選ぶ際には知名度だけでなく、自分が購入したい商品と取引方法に合っているかを確認します。日本株だけを買うのか、米国株など海外株式も検討するのかによって適したサービスは変わります。

  • 国内株式・外国株式の取扱銘柄
  • 売買手数料などのコスト
  • NISAで購入できる商品の範囲
  • 単元未満株・少額投資への対応
  • スマートフォンアプリや注文機能の使いやすさ
  • 企業情報・決算情報などの投資情報
  • 入出金のしやすさ

個別株初心者なら、最初から大きな金額を一銘柄へ投入する必要はありません。少額で実際の注文、約定、配当、決算発表、株価変動などを経験しながら仕組みを理解していく方法もあります。

まとめ:今の投資を継続しながらネット証券で個別株投資は可能

銀行でNISAや投資信託を利用していても、追加でネット証券の口座を開設し、特定口座などを利用して個別株へ投資することは可能です。現在保有している投資信託を売却する必要もありません。

ただしNISAについては、その年のつみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で利用することはできません。現在の金融機関でNISAを継続するならネット証券では課税口座を利用し、個別株にもNISAを使いたい場合には年単位でNISA金融機関を変更する方法を検討します。

また、毎月分配型の投資信託では分配金の一部または全部が元本払戻金となる場合があります。新しい投資を追加する前に、現在保有する商品の分配金、基準価額、手数料、運用成績を確認し、そのうえで投資信託と個別株を資産全体の中でどう組み合わせるか考えることが大切です。

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