オルカンは円高になると損?円安・円高が全世界株式の基準価額に与える影響をわかりやすく解説

外国為替、FX

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称「オルカン」へ投資していると、円高・円安のニュースを見て「円高になったら損をするのでは」「オルカン保有者にとって円安のほうがいいのか」と気になることがあります。

オルカンは日本を含む世界各国の株式へ投資する商品ですが、資産の多くは海外株式です。そのため為替変動の影響を受け、他の条件が同じなら円安は円ベースの基準価額にプラス、円高はマイナスに働くのが基本です。ただし、長期積立をしている人にとって「ずっと円安でなければ困る」とまではいえません。保有中と購入中では、円高の見え方が変わるからです。

オルカンは海外株式が多いため為替の影響を受ける

オルカンはMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)への連動を目指すインデックスファンドです。日本だけではなく、米国をはじめとする先進国、新興国の株式へ幅広く投資しています。[参照]

海外株式はドルなど現地通貨で価値が決まるため、それを日本円で評価するときには為替レートが関係します。オルカンは原則として為替ヘッジを行わないため、円高・円安の影響を受けます。

したがって「世界の株価が変わらなかった」と仮定した場合、円安になれば海外資産の円換算額は増加しやすく、円高になれば減少しやすくなります。

円安になるとオルカンが上がりやすい理由

単純な例として、米国株を100ドル分保有しているとします。1ドル=100円なら日本円では1万円ですが、1ドル=150円まで円安になると、株価が100ドルのままでも円換算額は1万5,000円になります。

反対に1ドル=150円から100円へ円高になれば、1万5,000円だった100ドル分の資産が1万円になります。このため海外資産をすでに大量に保有している人にとって、急激な円高は円ベースの評価額を押し下げる要因になります。

ただし実際のオルカンでは、米国株だけでなく欧州、日本、新興国など多数の市場へ投資しています。また株価そのものも毎日変動します。そのため「ドル円が5%円高になったからオルカンも必ず5%下落する」という単純な関係ではありません。

円高でも海外株が上昇すればオルカンが上がることはある

オルカンの値動きは為替だけで決まりません。大きく分ければ「投資先企業の株価」と「為替」の両方から影響を受けます。

たとえば円高によって為替面ではマイナスになっていても、世界株がそれ以上に上昇すれば、円ベースの基準価額が上昇することがあります。反対に円安が進んでも、世界的な株価暴落が大きければオルカンは下落する可能性があります。

状況 オルカンへの一般的な影響
世界株上昇+円安 両方がプラス方向に働きやすい
世界株上昇+円高 株高と為替が反対方向に作用
世界株下落+円安 株安と為替が反対方向に作用
世界株下落+円高 両方がマイナス方向に働きやすい

つまり、為替だけを見てオルカンの将来価格を予測することはできません。

積立中なら円高には「安く買いやすくなる」側面もある

すでにオルカンを大量に保有している人と、これから何年も積み立てる人では円高の意味が少し違います。保有資産だけを見るなら円高はマイナス要因ですが、これから購入する資産については円高によって海外資産を円換算で安く購入しやすくなる側面があります。

たとえば毎月3万円を積み立てている途中で円高になり、オルカンの基準価額が下落したとします。同じ3万円でも基準価額が低いときほど多くの口数を購入できます。その後に世界株が成長したり円安へ戻ったりすれば、その口数がリターンへ寄与する可能性があります。

そのため20年、30年と積み立てる人にとって、「積立開始直後から最後まで円安が続くことが最高」と単純にはいえません。資産形成の途中では安く購入できる期間にも意味があります。

むしろ注意したいのは取り崩す直前の急激な円高

積立開始直後より為替の影響を意識したいのが、資産を大きく取り崩す時期です。たとえば老後資金としてオルカンを長年保有し、数年後からまとまった金額を売却する予定のときに急激な円高と株安が同時に起これば、円ベースの評価額が大きく下がる可能性があります。

これは為替だけの問題ではなく、株式100%に近い資産配分そのものの問題でもあります。使用時期が近づいた資金まで値動きの大きい株式だけで持ち続けると、市場環境によって必要な時期に大きく値下がりしている可能性があります。

そのため資産形成の終盤では、数年以内に使う予定のお金を預貯金などへ移すなど、為替予想とは別に資産配分を見直す考え方があります。

オルカンを買うなら円高になるまで待つべき?

「現在は円安だから、円高になってからオルカンを買ったほうがいい」と考えることもできます。しかし、将来の為替を正確に予測することは困難です。円高を待っている間に世界株が大幅上昇すれば、結果的に高い価格で購入する可能性もあります。

逆に購入直後に急激な円高になれば、短期的には評価損が発生する可能性があります。どちらになるかを事前に確実に知る方法はありません。

NISAなどで長期の資産形成を目的としているのであれば、「次は円高か円安か」を当て続けることより、投資期間、積立額、生活防衛資金、許容できる値下がり幅などを決めて継続することのほうが重要になります。

円安が進めばオルカン投資家が必ず得するわけでもない

円安でオルカンの円換算評価額が増えると、一見すると全面的に得をしたように見えます。しかし日本で生活している場合、極端な円安は輸入品やエネルギーなどの価格上昇につながり、生活費を押し上げることがあります。

つまり「オルカンが円換算で増えた」という資産面のプラスと、「円の海外購買力が低下した」という生活面のマイナスが同時に起こることもあります。評価額だけを見て円安ほど良いと考えるのも単純化しすぎです。

オルカンを保有する目的は通常、円安へ賭けることではなく、世界各国の企業へ広く投資して長期的な成長の恩恵を得ることにあります。為替変動は、その過程で受けるリスクの一つと考えると理解しやすくなります。

まとめ:オルカンは円高に弱いが「円安でないと困る」とは限らない

オルカンは海外株式の比率が高く、原則として為替ヘッジを行わないため、他の条件が同じなら円安は基準価額の上昇要因、円高は下落要因になります。すでに多額のオルカンを保有している人ほど、急激な円高による円換算評価額への影響も大きくなります。

一方、長期間積み立てている途中なら、円高によって基準価額が下がることには、同じ積立額でより多くの口数を購入できる側面があります。またオルカンの価格は為替だけでなく世界各国の株価にも左右されるため、円高だから必ず下落、円安だから必ず上昇するわけではありません。

したがってオルカン投資では「円高にならないこと」を願い続けるより、円高・円安の両方が起こり得る前提で投資期間と資産配分を決めることが大切です。特に長期積立では短期的な為替予想に合わせて売買を繰り返すのではなく、自分が許容できるリスクの範囲で継続できる運用を考えることが基本になります。

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