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日本の自家用車は今後減る?人口減少・ネット通販・自動運転で変わる自動車需要と自動車産業の未来

株式

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日本では人口減少や高齢化が進む一方、ネット通販、カーシェア、公共交通、自動運転など、マイカーを所有しなくても生活できる選択肢が増えています。そのため、「将来は自家用車そのものが不要になるのではないか」「自動運転への巨額投資によって自動車メーカーの負担が増え、自動車産業が衰退するのではないか」と考える人もいるでしょう。

実際、日本の新車販売は1990年代のピーク時と比べて縮小しています。ただし、新車販売台数が減っていることと、自家用車が近い将来ほとんど不要になることは同じではありません。自動車検査登録情報協会によると、2026年3月末時点でも自家用乗用車は約6,184万台保有されています。日本の自動車市場を考えるには、販売台数だけでなく、保有台数、人口構造、地域差、ネット通販、自動運転、そして自動車産業の事業構造まで分けて見る必要があります。[参照]

日本の新車販売台数は長期的に見ると縮小している

日本の新車市場が以前より小さくなっているという見方には根拠があります。日本自動車工業会によると、2024年の四輪車新車販売台数は442万1千台で、前年比7.5%減でした。内訳を見ると、乗用車は372万5千台、トラックは68万6千台、バスは約1万台となっています。[参照]

1990年前後の国内新車市場と比べれば販売規模が縮小しているため、「日本では以前ほど新車が売れない」という大きな方向性は間違っていません。ただし、年間販売台数は景気、半導体などの部品供給、新型車の投入時期、認証問題、車両価格などにも左右されます。特定の1年間の増減だけから長期的な需要を判断するのは適切ではありません。

さらに重要なのが、「新車販売台数」と「現在使われている自家用車の台数」は別の統計だという点です。新車が年間400万台台になったからといって、日本国内の自家用車が急速になくなっているわけではありません。

自家用車は本当に減っている?保有台数を見ると景色が変わる

自動車検査登録情報協会の集計では、2026年3月末の自家用乗用車(登録自動車と軽自動車の合計)の保有台数は61,839,584台です。世帯数61,747,140世帯に対する世帯当たり普及台数は1.001台でした。前年からは0.008台低下しています。[参照]

単純計算では、日本には依然としておおむね1世帯に1台に相当する規模の自家用乗用車があります。したがって、現時点で「自家用車が急速に消滅している」と表現するのは実態と合いません。一方で世帯当たり普及台数が低下していることから、今後の縮小可能性を考える材料にはなります。

ここでは次の3つを区別することが大切です。

指標 何を表すか 減少した場合の意味
新車販売台数 1年間に売れた新車 買い替え・新規購入需要の縮小など
自動車保有台数 社会で保有されている車 車そのもののストックの縮小
世帯当たり普及台数 世帯数に対する車の台数 1世帯が持つ車の平均的な台数の変化

自動車市場を分析するときは「今年何台売れたか」だけを見るのではなく、この3種類の数字を組み合わせたほうが実態を把握しやすくなります。

人口減少は自家用車需要を押し下げる大きな要因

長期的な国内自動車需要を考えるうえで、最も無視できない要素の一つが人口減少です。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」では、2020年の国勢調査人口を基準として2070年までの将来人口が推計されています。出生中位・死亡中位の推計では、今後も人口減少と高齢化が進むシナリオになっています。[参照]

人口が減れば、免許を取得する人、通勤する人、子育てのために車を必要とする世帯などの母数も長期的には縮小しやすくなります。これは国内の新車販売にとって構造的な逆風です。

たとえば人口10万人の地域と人口7万人まで減った地域で、1人当たり・1世帯当たりの自動車保有率が同程度なら、後者のほうが地域全体として必要になる車の総数は少なくなりやすいでしょう。ネット通販や自動運転が存在しなくても、人口減少だけで国内自動車需要を押し下げる力が働きます。

ネット通販が普及しても自家用車がすぐ不要になるとは限らない

ネット通販は確かに「買い物のために車を使う」という需要の一部を代替できます。日用品や家電、衣類、食品まで自宅へ配送してもらえるため、以前なら車で店舗まで行っていた移動を減らせる家庭もあります。

しかし、自家用車の用途は買い物だけではありません。通勤・通学、家族の送迎、通院、旅行、レジャー、介護、子どもの習い事など、「人そのものを移動させる需要」はネット通販では代替できません。

たとえば徒歩圏に駅、スーパー、病院がそろう都市部なら、通販と公共交通を組み合わせて車を手放せる家庭があります。一方、最寄り駅まで数kmあり、家族の送迎や通勤にも車を使う地域では、通販で買い物の回数が減っても自動車の必要性は大きく変わらない場合があります。

さらにネット通販が拡大すると、人の買い物移動が減る一方で、商品を届けるための物流需要が生まれます。つまり「消費者が店舗へ車で行く」から「配送車が消費者の家へ来る」へ交通需要の一部が移転するとも考えられます。通販の普及だけを理由に、自動車全体の需要が同じ割合で減少すると考えることはできません。

都市部と地方では「車が必要か」の答えが大きく違う

日本の自家用車の将来を全国一律に考えると実態を見誤りやすくなります。鉄道やバスが充実している大都市では、駐車場代や車両価格、保険料、税金、燃料費などを負担してマイカーを所有するより、電車、バス、タクシー、カーシェアを組み合わせたほうが合理的な人も少なくありません。

一方、公共交通が少ない地域では状況が逆です。通勤先まで10km、病院まで8km、スーパーまで5kmといった生活環境なら、ネット通販で食品を届けてもらえても、通勤や通院、送迎の問題は残ります。

そのため将来は、全国で一様に自家用車が減るというより、都市部では「所有しない生活」が広がりやすく、地方では生活インフラとして自動車の重要性が残りやすいという地域差が重要になると考えられます。

自動運転が普及すると自家用車は不要になるのか

自動運転は、自家用車を消滅させる技術というより、まず「誰が運転するか」を変える技術として見ると分かりやすくなります。自動運転車であっても個人が所有すれば、それは自家用車です。つまり「自動運転の普及=自家用車の消滅」という関係ではありません。

一方で、ロボタクシーや無人シャトルなどが十分に安く、短時間で呼べるようになれば、マイカーを所有する必要性が低下する可能性があります。年間の走行距離が少ない都市部の利用者ほど、車両購入費、駐車場代、税金、保険、車検などを負担するより、必要なときだけ移動サービスを利用するほうが経済的になる可能性があります。

ただし、日本でレベル4の自動運転がすでに全国どこでも一般車と同じように走れる段階に達しているわけではありません。日本では2023年に福井県永平寺町で、国内初となる運転者を配置しないレベル4の自動運転移動サービスが開始されました。運行区間や速度など一定の条件下で実施されたサービスです。[参照]

国土交通省はその後も、地域公共交通のドライバー不足などへの対応策としてレベル4自動運転の社会実装を支援しています。2026年度も、自動運転車両の導入やシステム構築などに対する支援事業が進められています。[参照]

自動運転が普及すると「1人1台」から「必要なときに呼ぶ」へ変わる可能性

自動運転が自家用車市場へ大きな影響を与えるとすれば、重要なのは運転操作の自動化そのものより、ロボタクシーなどのMaaS(Mobility as a Service)との組み合わせです。

たとえば現在100世帯がそれぞれ1台ずつ車を持っている地域を考えます。仮に将来、十分な台数の無人車両をスマートフォンから数分で呼べるようになり、料金も低価格になれば、利用頻度の低い家庭では車を所有するメリットが小さくなる可能性があります。

この場合、自動車メーカーにとって問題になるのは「自動運転車が売れるか」ではなく、社会全体で必要になる車両台数がどう変化するかです。1台の自動運転車が1日に何人もの利用者を運ぶようになれば、移動回数が維持されても必要な車両台数は減る可能性があります。

反対に、運転できなかった高齢者や免許を持たない人でも容易に車を利用できるようになれば、移動需要そのものが増える可能性もあります。したがって、自動運転が最終的に自動車台数をどれだけ減らすかは、技術だけでなく料金、稼働率、規制、地域の人口密度、公共交通との競合などによって決まります。

自動運転への巨額投資で日本の自動車産業は衰退するのか

自動運転にはセンサー、半導体、AI、地図、通信、ソフトウェア、データセンター、サイバーセキュリティなど幅広い技術が必要で、研究開発や社会実装には大きな費用がかかります。そのため投資額だけを見れば、自動車メーカーにとって負担になる側面があります。

しかし、投資額が大きいこと自体が産業の衰退を意味するわけではありません。自動運転が新しい市場を形成すれば、自動車メーカーにとって新たな収益源になる可能性もあります。車両を一度販売して終わるビジネスから、ソフトウェア、運行管理、保守、アップデート、モビリティサービスなどへ収益源が広がる可能性があるためです。

また、日本の自動車産業は国内向けの自家用乗用車だけで成り立っているわけではありません。海外向けの車両、商用車、部品なども含まれるため、日本国内の人口減少と国内新車販売の縮小だけで産業全体の将来を判断することはできません。日本自動車工業会によると、2024年の国内四輪車生産は823万5千台で、国内新車販売442万1千台を大きく上回っています。[参照]

一方で、自動運転・電動化・ソフトウェア化への対応で競争力を失えば、既存メーカーにとって大きなリスクになります。つまり問題は「自動運転へ投資するから衰退する」というより、巨額の開発投資を回収できる商品・サービスを作り、世界市場で競争できるかという点にあります。

自動車株の株価と国内の自家用車減少は分けて考える

自動車株が軟調な時期があっても、それだけで「投資家が自家用車の消滅を予想している」と判断することはできません。自動車メーカーの株価には、国内販売だけでなく海外販売、為替、金利、原材料価格、関税、各国の環境規制、EV競争、価格競争、業績見通し、株式市場全体の地合いなど多くの要因が影響します。

特に日本の大手自動車メーカーは海外事業の比重も大きいため、国内の人口減少だけを見て株価を評価すると重要な要素を見落とします。国内市場が縮小しても海外市場で販売や利益を伸ばせれば業績を維持できる一方、世界販売が伸びても値下げ競争や開発費増加によって利益率が悪化するケースもあります。

自動車株を分析する場合は、国内販売台数だけではなく、世界販売台数、営業利益率、地域別利益、研究開発費、設備投資、フリーキャッシュフロー、為替感応度、EV・ハイブリッド車の競争力、ソフトウェア戦略などを確認するほうが企業の実態を把握しやすくなります。

今後の日本では「車がなくなる」より自動車の使われ方が変わる可能性

日本の自家用車については、人口減少や高齢化、都市部での公共交通、カーシェアなどを考えると、長期的には国内需要を押し下げる要因が存在します。2026年3月末の自家用乗用車の世帯当たり普及台数が1.001台まで低下していることも、今後の動向を見るうえで注目すべき数字です。[参照]

しかし、約6,184万台という自家用乗用車が現に保有されていることや、地方では車が生活インフラとして重要であることを考えると、ネット通販や自動運転だけを理由に短期間で自家用車が不要になると予測するのは早計です。

むしろ注目すべきなのは、「車を所有する社会」から「所有とサービス利用を選択する社会」へ少しずつ変化する可能性です。都市部ではカーシェアや将来のロボタクシー、地方では自家用車や自動運転型の公共交通というように、地域によって異なる形へ分化する可能性があります。

まとめ:日本の自家用車は減少圧力があるが「自動車産業の消滅」とは別問題

日本の新車市場はピーク時より縮小しており、人口減少は今後も国内自動車需要に対する大きな下押し要因になると考えられます。ネット通販、カーシェア、自動運転サービスの発達も、一部の人にとって自家用車を所有する必要性を低下させる可能性があります。

一方、2026年3月末時点でも自家用乗用車は約6,184万台あり、世帯当たりでは1.001台です。買い物以外にも通勤、通院、送迎、レジャーなど車の用途は多く、特に公共交通の少ない地域ではマイカーの役割が残ります。したがって、現状からは「自家用車が一気に不要になる」というより、人口減少とともに需要が縮小しつつ、地域や利用目的によって所有の必要性が分かれていくシナリオのほうが考えやすいでしょう。

また、自動運転への投資は自動車メーカーにとってコストであると同時に、新しい移動サービスやソフトウェア収益を生み出すための投資でもあります。国内販売台数の減少、自動運転の普及、自動車産業の衰退、自動車株の値動きは関連こそありますが同じ問題ではありません。今後を見るうえでは「車がなくなるか」ではなく、「誰が車を所有し、誰が運転し、メーカーは車両販売以外からどう利益を得るのか」という産業構造の変化を追うことが重要です。

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