企業が利益を最大化するために、生産量をどこで決めるかは経済学の基本的なテーマです。多くの経済学の教科書では、「価格と限界費用が等しくなる点で生産量が決まる」と説明されています。本記事では、その理由を数式ではなく、直感的な説明や具体例を交えてやさしく解説します。
限界費用とは?企業経営における重要な指標
限界費用(MC: Marginal Cost)とは、「製品を1単位追加で生産するために必要なコスト」です。これは平均費用とは異なり、あくまで“追加分”に注目します。
たとえば、10個目までの生産には1個あたり300円かかっていたが、11個目を作るには500円かかるというように、生産量が増えると限界費用が上昇するのが一般的です。
なぜ価格と限界費用が等しくなると利潤最大化?
企業が1つ商品を売ると、その分だけ収入(=価格)が増えます。一方、コストも1つ増えます。このとき、価格と限界費用が等しければ、それ以上生産しても利益が増えず、減らしても利益が下がる状態、すなわち「利潤が最大」の状態になります。
例として、商品1個の販売価格が1,000円で、限界費用が900円であれば、企業はもっと生産して利益を増やせます。逆に限界費用が1,100円であれば、作れば作るほど損をします。
限界収入と限界費用の関係
完全競争市場では、価格は一定なので限界収入(MR: Marginal Revenue)=価格となります。そのため、「限界収入=限界費用」の条件は「価格=限界費用」と言い換えられます。
これが通用するのは、市場価格が企業のコントロール外にあるような完全競争市場です。独占や寡占市場ではMRとPが異なるため、やや複雑になります。
価格≧限界費用なら生産拡大、価格≦限界費用なら縮小が合理的
企業は合理的な判断を行います。価格が限界費用より高ければ、「生産すれば利益になる」と判断し、生産を増やします。逆に価格が限界費用より低ければ、「赤字になる」と判断して、生産を控えます。
その結果として、価格=限界費用となる点に収束し、そこが利潤最大化点となるのです。
図を使った理解(イメージ解説)
限界費用曲線(MC)が右上がりのU字型で、価格が一定の水平線と交わる点が「最適生産量」。この交点が利益最大点になります。
イメージ図を描くと、MC曲線がPラインに交わるところで、追加1単位を作っても損も得もなくなるちょうどのラインです。
企業が直面する現実的な意思決定
現実の企業では、生産調整のタイミング、機械の稼働率、人件費などの制約もあるため、理論通りにはいかないこともあります。それでも、価格と限界費用の関係は、日々の経営判断や原価管理において重要な視点です。
特に製造業や在庫を持つ業態では、この「限界費用」をしっかり把握することが、収益性の向上に直結します。
まとめ:価格と限界費用の関係がカギ
企業の利潤を最大化するためには、「価格=限界費用」の関係を理解することが基本です。これにより、どこまで生産すべきか、追加生産は得か損か、という判断ができます。
この考え方はミクロ経済学の基礎理論ですが、現実の経営にも応用可能な普遍的な原理です。まずは「限界費用とは何か」「価格とどのように関係するか」から丁寧に押さえていきましょう。

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