1980年代後半、日本経済は「バブル景気」と呼ばれる未曾有の資産インフレ期を迎えました。地価や株価が急上昇した時代として知られますが、果たしてその影響は東京や大阪などの大都市圏だけに限られていたのでしょうか?本記事では、地方都市や農村部、さらには山林・田んぼといった不動産がバブル期にどのように扱われていたのかを掘り下げます。
バブル期の不動産価格上昇の構造
バブル景気では、都市銀行の過剰融資や低金利政策、不動産担保主義などが重なり、不動産価格が全国的に上昇しました。特に、東京都心部では「土地神話」が極まったことで、1坪数千万円という異常な価格も見られました。
この影響は東京や名古屋、大阪といった大都市だけでなく、全国の政令指定都市や中核市にも波及。地価公示や地価調査の統計にも、地方主要都市の価格上昇がはっきりと記録されています。
地方都市の駅前はどうだったのか?
例えば、秋田市・鳥取市・高知市・松江市などの地方県庁所在地では、駅周辺や市街地の商業地で地価が前年比20~40%上昇した年もありました。これは地価公示・地価調査のデータに裏付けられています。
バブル期は「東京の土地を担保に地方都市の土地を買い、さらにそれを担保にまた買う」という連鎖的な投資行動が盛んに行われ、地方都市の中心市街地や再開発エリアにも資金が流入しました。
田んぼや山林など非都市部の動き
一方で、農地や山林といった非収益不動産については、商業地ほどの高騰は見られませんでした。ただし、都市計画区域に近接する農地や、将来的に宅地転用が見込まれる土地は、投機対象となるケースがありました。
たとえば、千葉県市川市や船橋市のような都市近郊農地では、地価の上昇が著しく、結果的に農地法の制限を乗り越えて開発が進むこともありました。
千葉のような「準都市圏」はどうだったか
千葉県は都心への通勤圏としてベッドタウン化が進み、習志野・浦安・柏・流山といったエリアはバブル期に著しく地価が上昇しました。地価の上昇率は東京23区を凌駕する年もあり、特に湾岸エリアでは開発熱が過熱しました。
このように、東京都心に近い地方圏(首都圏周辺)では、地価の上昇と投資の波はかなり広範囲に及んでいたのです。
地方で投資対象になったエリアの特徴
バブル期に地方で投資対象となったのは、以下のような条件を満たす場所でした。
- 駅前や繁華街など、商業集積地
- 再開発計画や区画整理事業が進んでいるエリア
- 将来的に都市計画変更が見込まれる農地・山林
- 観光地やリゾート開発が予定されていた地域(例:軽井沢、伊豆、宮崎シーガイア周辺)
このようなエリアでは、「実需」と「投機需要」の両方が絡み合い、土地価格の高騰が引き起こされました。
まとめ:地方都市もバブルの恩恵と影響を受けた
1980年代のバブル景気は、都市部の話だけではありませんでした。地方都市、特に県庁所在地や交通の要所となる駅周辺では、明確な地価上昇が確認されており、実際に投資対象として注目されていました。
田舎の山林や田んぼといったエリアでは限定的でしたが、「都市近郊」「再開発予定地」など条件が整えば地方でも土地バブルは確かに起きていたのです。バブルを正しく理解するには、地域差だけでなく、その土地の属性と文脈に目を向けることが不可欠です。

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