近年、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)の価格高騰により、相続時の課税リスクが注目されています。特に、相続税と所得税の二重課税により、相続資産以上の税負担が発生する可能性があるため、事前の対策が重要です。
暗号資産の相続における課税の仕組み
暗号資産は相続財産として扱われ、相続時の評価額に基づいて相続税が課税されます。さらに、相続後に暗号資産を売却すると、その売却益に対して所得税および住民税が課税されます。これにより、最大で110%の税率が適用されるケースもあります。
例えば、被相続人が100万円で購入したビットコインが相続時に6億円の価値になっていた場合、相続税として約3億3,000万円(税率55%)が課税されます。相続人がこれを売却すると、売却益に対して約3億2,945万円(所得税45%+住民税10%)が課税され、合計で約6億5,945万円の税負担となり、相続資産を超える可能性があります。
取得費加算の特例が適用されない理由
通常、相続財産を売却した際には「取得費加算の特例」により、相続税の一部を取得費に加算して譲渡所得を減額できます。しかし、暗号資産の売却益は「雑所得」として扱われるため、この特例は適用されません。これにより、相続税と所得税の二重課税が発生しやすくなります。
相続手続きの流れと注意点
暗号資産の相続手続きは、以下のステップで進められます。
- 被相続人が利用していた取引所を特定する。
- 取引所に連絡し、相続手続きの方法を確認する。
- 必要書類(死亡診断書、戸籍謄本、相続関係説明図など)を提出する。
- 取引所から残高証明書を取得し、相続税の申告を行う。
なお、被相続人が海外の取引所を利用していた場合や、ウォレットのパスワードが不明な場合は、資産の特定や引き継ぎが困難になる可能性があります。
税負担を軽減するための対策
暗号資産の相続に伴う税負担を軽減するためには、以下の対策が有効です。
- 生前贈与:年間110万円までの非課税枠を活用し、資産を分散して贈与する。
- 遺言書の作成:暗号資産の保有状況やアクセス情報を明記し、相続人がスムーズに手続きを行えるようにする。
- 専門家への相談:税理士や弁護士に相談し、最適な相続対策を講じる。
まとめ
暗号資産の相続には、相続税と所得税の二重課税による高額な税負担のリスクがあります。取得費加算の特例が適用されないため、特に注意が必要です。生前からの対策や専門家への相談を通じて、適切な相続計画を立てることが重要です。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント