経済ニュースや金融政策の話題でよく登場する「マネーストック」。その構成指標であるM1、M2、M3、広義流動性という4つの区分には、それぞれ異なる意味と役割があります。本記事では、それらの違いや意味、そしてM2にゆうちょ銀行が含まれない理由まで、わかりやすく解説します。
マネーストックとは?経済の“お金の量”を測る指標
マネーストックとは、民間(金融機関や政府を除く個人・企業)が保有する通貨の総量を示す統計です。金融政策や景気動向の分析に重要な指標とされ、日本銀行が毎月公表しています。
このマネーストックは流動性の高い順に、M1→M2→M3→広義流動性という4つの階層に分けられています。分類の目的は「お金の流動性と利用目的に応じた変化を捉えること」です。
M1・M2・M3・広義流動性の違いとは
- M1:現金通貨(紙幣・硬貨)+当座預金
主に即時決済や消費に使われるお金で、最も流動性が高い。 - M2:M1+定期預金など(都市銀行・地方銀行・信託銀行)
家計や企業の資産として保持される部分が多く、やや流動性が下がる。 - M3:M2+信用金庫・信用組合・労働金庫などの預金
地域金融機関を含めたより広範な金融部門を網羅した指標。 - 広義流動性:M3+郵便貯金・金融債・MMFなど市場性のある金融商品
最も広く定義された「お金」の範囲で、実質的な流通可能資産の集計。
このように、それぞれの指標は「どれだけすぐ使えるか(流動性)」という視点で整理されており、金融政策の分析では用途に応じて使い分けられています。
なぜM2にゆうちょ銀行が含まれないのか?
ゆうちょ銀行(旧郵便貯金)は、M2には含まれず、M3の一部、もしくは広義流動性に含まれます。理由は以下の通りです。
日本銀行が定義するM2は「預金取扱金融機関のうち、都市銀行・地方銀行・信託銀行の預金に限定」しており、ゆうちょ銀行や農林系金融機関(JAバンクなど)はこの枠に含まれていないからです。
これは統計的整合性と、民間銀行との比較可能性を重視した結果であり、ゆうちょ銀行がかつて官営であったことも影響しています。
マネーストック指標の使い分け:実務や政策への影響
日銀や政府は、景気分析や金融政策の効果を評価するために、それぞれのマネーストック指標を活用します。たとえば。
- 短期的な購買意欲や景気の動きを知るにはM1が有効
- 中長期的な金融緩和の波及効果を測るにはM2やM3が有効
- 総合的な資金供給の全体像を把握するには広義流動性が必要
また、金融機関にとっては、自行の預金がどの指標に分類されるかによって、投資家や政策当局の注目度も変わってきます。
まとめ:マネーストック指標の理解が経済を見る力を高める
M1から広義流動性までの区分は、「お金の使われ方」と「金融機関の種類」によって細かく分けられています。この分類を理解することで、景気動向の分析や金融政策の理解が格段に深まります。また、ゆうちょ銀行がM2に含まれないのは、政策的・制度的な枠組みによるものであり、特異な扱いではなく明確な根拠があります。マクロ経済のニュースを読み解く一助として、ぜひ活用してみてください。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント